大阪市で学校統廃合を条例に明記することを図り、行政主導での統廃合を推進しようとしている問題で、「学校つぶしを強行する条例制定をおこなわないことをを求める」陳情書が、2020年2月3日に大阪市会に提出された。

大阪市学校園教職員組合など1004団体・個人の署名も添付されている。

2020年2月7日に開会する大阪市会2月議会で審議される見通しとなっている。

条例案の背景


大阪市では維新市政のもと、行政主導での学校統廃合を進めるために、大阪市立学校活性化条例(維新市政が制定した、いわゆる「教育基本条例」のひとつ)の改定案を準備し、学校統廃合を条例に明記する方針が、2020年1月に明らかにされた。

そして改定条例案は、大阪市会2月議会に提出されることが発表されている。

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この背景には、維新市政が打ち出した学校統廃合の方針について、住民の要望を無視して強硬に進めることを図っている問題があるとみられる。

学校統廃合については、文部科学省では、学校の適正規模の基準を示した上で「各学校・地域の裁量」としている。

大阪市では独自に学校の適正規模を示した上で、実際の学校統廃合手続きについては、当該地域での住民合意に基づいておこなうとしてきた。

一方で「適正規模」として示されている内容はあくまでも教育行政としての一つの見解ではあるが、教育的な観点からは必ずしも普遍的に当てはまるとは限らないのではないかとも指摘されている。

生野区で学校統廃合方針が打ち出されたものの、統廃合対象となった当該地域からは、「少人数で行き届いた教育ができなくなる」「子どもの足で通学に40分かかる地域が出る」「災害時の避難場所がなくなる。当該地域は住宅密集地でもあり、災害時に不安」などとする疑問が出た。地域住民からは統廃合反対の声や慎重に対応するよう求める声が出て、市教委の当初計画通りには計画が進んでいない。生野区の統廃合問題は、大阪市会でもしばしば疑問点が取り上げられている。

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2019年10月の大阪市会では、維新市議が、学校統廃合に対して地元の住民が意見を言うのはおかしいと受け取れるような主張をおこなっている。

条例改定によって、現に統廃合計画で異論が出ている生野区での住民の疑問を封じ、また今後統廃合計画が浮上した地域で疑問の声が出されても封じ込める狙いがあるのではないかともみられる。学校の問題は地域のまちづくり全体にもかかわるものであり、行政が一方的に強行することに法的な根拠を与えるような条例改定には、強い疑問と懸念を感じる。

また学校統廃合を行政主導でおこなうとした条例は、全国的にも例を見ないものだとも指摘されている。

地域の合意形成を放棄し、住民の意見を徹底的に軽視するという維新政治のやり方は、非常に問題である。またそれだけではなく、学校統廃合によって学校予算を減らしていくことにもつながることも、強い危惧を感じるものとなっている。

このような問題がある条例は、制定・改定されるべきではない。
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