大阪府教育委員会が2021年度より、府内の小学校5年児童を対象に独自の統一学力テストを実施する方針を固めたと報じられている。

NHKニュース2020年2月13日『大阪府 小5に学力テスト実施へ』が報じている。

報道によると、全国学力テストの成績が低迷していることを受け、6年で実施される全国学力テストの1年前にあたる5年の段階で学力課題などを洗い出したいとしている。

テストは5年の1学期に実施することとし、国語・算数・理科の3教科のほか、教科横断的に言語能力を測る問題についても出題する方向で検討している。

テスト漬け・テスト競争の激化につながるおそれ


そもそも学力の課題は、「全国学力テストや自治体独自の学力テストでの点数や、学校別・地域別の平均点」のみに矮小化されるべきものではない。しかし全国学力テストの実施によって、学力の状況が「テストの順位や平均点」一辺倒に扱われる風潮が加速し、教育現場の混乱と困難に拍車をかける一因ともなっている。

全国的にも、テストの点数・学校平均点を上げるために、全国学力テスト直前には通常の授業をせずに過去問・類題演習にばかり費やしたり、春休みの宿題として全国学力テストの類題プリントを解かせるなどのケースが報告されている。大阪府内でもそういった事例が報告されている。

これでは、課題を見つけ出し弱点を強化するなどの指導は、逆に困難になる。

加えて大阪府では、府内の中学生を対象にした統一学力テスト「チャレンジテスト」を実施し、しかもチャレンジテストの成績を評定(いわゆる内申点)にも反映させることで、混乱に拍車がかかっている。

さらに大阪市で小学校3~6年を対象に実施している「学力経年調査」など、市町村単位での統一学力テストを実施している場合もある。

この上にさらに新しいテスト実施を上乗せすると、テストの点数競争とテスト漬けによって、本来の学力概念が置き去りにされ、テストの点数を上げるために過去問や類題ばかり解かせる傾向がますます進んでいくのではないか。また本来の学力状況把握とはかけ離れた目的のテストを頻繁におこない、対策に追い立てられることで、児童も教職員も疲弊させるのではないか。
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