市立小学校の統廃合について、小規模校統廃合計画を教育委員会が策定することを義務づける大阪市の条例改正案についての審議が、2月17日の大阪市会教育こども委員会で開かれた。
委員会では条例案が可決された。維新・公明が賛成、自民・共産が反対となった。本会議での議決を経て、可決の場合は4月より施行されることになっている。
http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-20769/
質疑の概略について、概略をメモおこしして紹介する。
生野区の学校統廃合問題では、いったん立ち止まることを求める陳情などが多数出された。しかし維新は「統廃合については個別校ごとの審査はなじまない。行政が策定したルールですすめるべき」と主張してきた。
過大規模校に関する取り組みについてもお伺いしたい。
条例案は、生野区の学校統廃合が進まないから条例化したのではないかとも見受けられる。鶴見区を除く23区84校が対象となり、大きな影響が出る。
小規模校の統廃合ばかりで過大規模への規定が盛り込まれていないが、過大校解消も必要ではないか。例えば過大規模となっている阿倍野区のT小学校では、体育の授業に支障が出ている。複数のクラスが体育館で同時に授業をおこなってひしめき合っている。水泳も1授業時間を区切って交代で使っている。
条例で定められたからといって、統廃合対象の地域の理解が得られるのかは疑問。
2020年1月の総合教育会議に出された資料によると、生野区のある小学校PTA会長が「地域合意は困難。行政の決定事項として進める方がいい」、別の地域連合会長が「地下鉄が延伸されない限り学校統廃合は認めない」と発言したと記されている。疑問に思って確認をとると、当事者はいずれも「そんなことを言っていない。そういう資料が出されたのも初耳。弁明の機会がほしい」とした。議会参考人として証言してもいいという意向を示されたので、参考人招致の調整をしたが、維新・公明の各会派が難色を示してできなかった。
当事者の方は文章で見解を寄せている。PTA会長は「言ってもないことを言ったかのようにされたことは心外」、連合会長は「地下鉄や空き家対策など総合的なまちづくりを考えるべきだと発言したことはある。しかし、地下鉄を学校統廃合の交換条件としたことはないし、そんなつもりもない」。地域の方の言い分通りなら、担当職員が発言をねじ曲げて改ざん文書を作ったことになってしまう。これらは問題ではないか。発言内容を確認したうえで改めて出し直すべきではないか。
反対する人は悪者にされてしまう。言ってもないことを言ったかのようにされてしまう。このまま行ってしまうと全区に派生し、他の区でも似たようなことが起きてしまう。
現状では条例案に賛成しかねる。
参考人招致の話が出たが、当会派としては市民・区民の代表者が議論することが必要だと判断した。ご理解いただきたい。
条例での機械的統廃合はまずいと考える。統廃合計画を作る初期段階から保護者・地域の声に耳を傾け、計画に固執することがないように要望したい。
条例化によって統廃合を強いルールにするのは不安・心配・懸念を感じる。反対を表明する。
この条例案は、統廃合について合意形成が重要とした文部科学省の手引きにも反すると考える。「意見がまとまりにくいから条例化」では行政の道に反する。
プランそのものが乱暴だから保護者や地域から声が出るのであって、ルール化されていないからまとまらないというものではない。
学校統廃合に関する課題は、生野区だけでなく各地域で出ている。浪速区S小学校は2014年に2校統合でできたが、保護者から「幹線道路3本と踏切を渡って通学することになり、通学の安全に不安を感じている。最初は地域のPTAの付き添い活動などもあったが、いつも付き添えるわけではなく、今は子どもだけで通学している」という声が出ている。統廃合から3年後に児童数が増えて校舎増築工事をおこなう状況になり、「何のための統廃合だったのか」という声も出た。地域からは統廃合の時点で、将来的に子どもが増えるのではないかと指摘されていた。校舎増築中のために運動場が狭くなっている。近くの特別支援学校跡地を体育の授業でグラウンドとして使うことにしていたが、実際は着替えと移動の時間がかかって困難で、今は使われていない。「小学校6年間は帰ってこない」という声が出ている。
N小中一貫校では、前身校統合の際にスクールバスを走らせるという話があったが、走っていない。
学校配置適正化そのものが適切かどうかについても考えなければならない。小規模校の生野区T小学校に子どもを通わせる保護者は、「子どもの入学式はアットホームで温かいものだった」「少人数だけど、学校まるごと仲がいい」と小規模校を歓迎する声を寄せている。いじめがあったときに逃げ場がないとか、人間関係の固定化が小規模校のデメリットとしてよく言われるが、そういうことにはなっていない。子どもに目が届くことでいじめが未然に防げる、1年から6年まで顔見知りで異年齢集団ができて関係が固定しないなどのメリットになっている。集団競技などは近隣校などとの合同でするなどの工夫がいるが、一人一人の学習状況を把握できるのはメリットになる。大人数ではそういうことができない。
別の学校では、40人1クラスとなり、体調不良を訴える子どもや、荒れた状態になる子どもなどもいるとして、2クラスに分けてほしいという要望が出ている。
一人一人に目が届く教育が重要だと、日本共産党は考える。少人数学級の導入や、学校の適正基準そのものについて考え直すべき。学校教育法施行規則では18学級を上限の目安にしているが、大阪市は24学級としているのは多すぎるのではないか。
大阪市のまちづくり計画のあり方についても考えるべき。東淀川区のK小学校では児童増で増築し、工事終了後もグラウンドが狭くなる見通し、一方で隣の校区のO小学校は全学年単学級。中央区のN小学校では校区にタワマンが急増して児童が急増しているが、会議室や特別教室を普通教室を転用し、空き教室がゼロになっている。
大阪市全体の都市計画として考えていないことがひずみを生んでいる。政令市の強みを生かして大阪市のまちづくりを考えるべき。義務教育に杓子定規の基準を当てはめるのはおかしい。
委員会では条例案が可決された。維新・公明が賛成、自民・共産が反対となった。本会議での議決を経て、可決の場合は4月より施行されることになっている。
http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-20769/
質疑の概略について、概略をメモおこしして紹介する。
2020年2月17日大阪市会質疑(概略)
杉村幸太郎市議(維新)
生野区の学校統廃合問題では、いったん立ち止まることを求める陳情などが多数出された。しかし維新は「統廃合については個別校ごとの審査はなじまない。行政が策定したルールですすめるべき」と主張してきた。
過大規模校に関する取り組みについてもお伺いしたい。
木下吉信市議(自民)
条例案は、生野区の学校統廃合が進まないから条例化したのではないかとも見受けられる。鶴見区を除く23区84校が対象となり、大きな影響が出る。
小規模校の統廃合ばかりで過大規模への規定が盛り込まれていないが、過大校解消も必要ではないか。例えば過大規模となっている阿倍野区のT小学校では、体育の授業に支障が出ている。複数のクラスが体育館で同時に授業をおこなってひしめき合っている。水泳も1授業時間を区切って交代で使っている。
条例で定められたからといって、統廃合対象の地域の理解が得られるのかは疑問。
生野区の関係者の発言は
2020年1月の総合教育会議に出された資料によると、生野区のある小学校PTA会長が「地域合意は困難。行政の決定事項として進める方がいい」、別の地域連合会長が「地下鉄が延伸されない限り学校統廃合は認めない」と発言したと記されている。疑問に思って確認をとると、当事者はいずれも「そんなことを言っていない。そういう資料が出されたのも初耳。弁明の機会がほしい」とした。議会参考人として証言してもいいという意向を示されたので、参考人招致の調整をしたが、維新・公明の各会派が難色を示してできなかった。
当事者の方は文章で見解を寄せている。PTA会長は「言ってもないことを言ったかのようにされたことは心外」、連合会長は「地下鉄や空き家対策など総合的なまちづくりを考えるべきだと発言したことはある。しかし、地下鉄を学校統廃合の交換条件としたことはないし、そんなつもりもない」。地域の方の言い分通りなら、担当職員が発言をねじ曲げて改ざん文書を作ったことになってしまう。これらは問題ではないか。発言内容を確認したうえで改めて出し直すべきではないか。
反対する人は悪者にされてしまう。言ってもないことを言ったかのようにされてしまう。このまま行ってしまうと全区に派生し、他の区でも似たようなことが起きてしまう。
現状では条例案に賛成しかねる。
永井広幸市議(公明)
参考人招致の話が出たが、当会派としては市民・区民の代表者が議論することが必要だと判断した。ご理解いただきたい。
条例での機械的統廃合はまずいと考える。統廃合計画を作る初期段階から保護者・地域の声に耳を傾け、計画に固執することがないように要望したい。
長岡ゆりこ市議(共産)
条例化によって統廃合を強いルールにするのは不安・心配・懸念を感じる。反対を表明する。
この条例案は、統廃合について合意形成が重要とした文部科学省の手引きにも反すると考える。「意見がまとまりにくいから条例化」では行政の道に反する。
プランそのものが乱暴だから保護者や地域から声が出るのであって、ルール化されていないからまとまらないというものではない。
学校統廃合に関する課題は、生野区だけでなく各地域で出ている。浪速区S小学校は2014年に2校統合でできたが、保護者から「幹線道路3本と踏切を渡って通学することになり、通学の安全に不安を感じている。最初は地域のPTAの付き添い活動などもあったが、いつも付き添えるわけではなく、今は子どもだけで通学している」という声が出ている。統廃合から3年後に児童数が増えて校舎増築工事をおこなう状況になり、「何のための統廃合だったのか」という声も出た。地域からは統廃合の時点で、将来的に子どもが増えるのではないかと指摘されていた。校舎増築中のために運動場が狭くなっている。近くの特別支援学校跡地を体育の授業でグラウンドとして使うことにしていたが、実際は着替えと移動の時間がかかって困難で、今は使われていない。「小学校6年間は帰ってこない」という声が出ている。
N小中一貫校では、前身校統合の際にスクールバスを走らせるという話があったが、走っていない。
学校配置適正化そのものが適切かどうかについても検討すべき
学校配置適正化そのものが適切かどうかについても考えなければならない。小規模校の生野区T小学校に子どもを通わせる保護者は、「子どもの入学式はアットホームで温かいものだった」「少人数だけど、学校まるごと仲がいい」と小規模校を歓迎する声を寄せている。いじめがあったときに逃げ場がないとか、人間関係の固定化が小規模校のデメリットとしてよく言われるが、そういうことにはなっていない。子どもに目が届くことでいじめが未然に防げる、1年から6年まで顔見知りで異年齢集団ができて関係が固定しないなどのメリットになっている。集団競技などは近隣校などとの合同でするなどの工夫がいるが、一人一人の学習状況を把握できるのはメリットになる。大人数ではそういうことができない。
別の学校では、40人1クラスとなり、体調不良を訴える子どもや、荒れた状態になる子どもなどもいるとして、2クラスに分けてほしいという要望が出ている。
一人一人に目が届く教育が重要だと、日本共産党は考える。少人数学級の導入や、学校の適正基準そのものについて考え直すべき。学校教育法施行規則では18学級を上限の目安にしているが、大阪市は24学級としているのは多すぎるのではないか。
まちづくり計画のあり方
大阪市のまちづくり計画のあり方についても考えるべき。東淀川区のK小学校では児童増で増築し、工事終了後もグラウンドが狭くなる見通し、一方で隣の校区のO小学校は全学年単学級。中央区のN小学校では校区にタワマンが急増して児童が急増しているが、会議室や特別教室を普通教室を転用し、空き教室がゼロになっている。
大阪市全体の都市計画として考えていないことがひずみを生んでいる。政令市の強みを生かして大阪市のまちづくりを考えるべき。義務教育に杓子定規の基準を当てはめるのはおかしい。