東京医科大学で女子受験生や高校卒業からの年数が長い受験生に対して試験の得点を低く調整するなどの不正入試があったとして、特定適格消費者団体「消費者機構日本」(COJ)が、消費者裁判手続き特例法に基づき同大学に受験料などの返還義務があることを確認することを求める判決が、2020年3月6日に東京地裁で言い渡された。

東京地裁は訴えを認め、受験料については「得点調整が告知されていれば出願しなかったと推認できる」として、同大学に返還義務があると判示した。

東京女子大の措置について、「受験生を性別や年齢などで一律に不利益に扱う得点調整は、法の下の平等を定めた憲法の趣旨に反し、受験生にこれを告知しなかったことは違法との評価を免れない」などと指摘した。

消費者裁判手続き特例法(2016年施行)に基づき、「特定適格消費者団体」に認定された消費者団体が被害者の代行として被害回復を求める訴訟で、司法判断が示されたのは初めてとなる。判決が確定した場合、被害に遭った受験生は簡素な手続きで返還請求をおこなえることになる。対象者は女子受験生だけで2800人前後になるとみられるという。

一方で受験にかかった交通費や宿泊料などの経費については、各受験生について個別の審理・検討が必要として一律の判断は困難とし、当該訴訟での返還範囲としては対象外とした。

この司法判断が示されたのは画期的なものだといえるのではないか。被害者救済への道が大きく開かれたことになる。大学側は控訴を断念して判決を確定させてほしいと願う。

法的には特例法施行以降の2017年度以降の受験生が対象となり、それ以前の受験生の被害はこの訴訟では対象外となっている問題もある。交通費や宿泊料などの問題もある。それらについても、救済のためにていねいかつ誠実な対応をとるべきではないか。
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