札幌市立小学校6年の女子児童が、卒業文集の作文に「いじめを受けて不登校になった」という趣旨のことを書いたが、学校側から文集への掲載を拒否されたとする内容が、週刊誌報道で流れている。
文春オンライン2020年3月16日「「私はいじめられていた」作文を卒業文集に不掲載 札幌市立小学校の“事なかれ主義”」が報じている。
https://bunshun.jp/articles/-/36623
記事によると、以下のような経過が記されている。
当該児童は3年の頃からいじめを受け、5年になるといじめが激化して不登校に追い込まれたとされる。当該児童の案件は、いじめ防止対策推進法上の「重大事態」と判断され、調査委員会が設置されているという。
2020年3月の卒業を控え、学校側は卒業文集を作成する際に、児童に対して「6年間の思い出の作文」として、「成長」「夢」「感謝」のいずれかのテーマに触れながら800字の作文を書くよう求めた。
不登校になっていた当該児童にも依頼があり、児童は「学校生活で学んだ事」として、いじめを受けて不登校になったことにも触れた作文を提出した。
児童は「6年前は、自分が卒業式に出ないかも知れないなんて想像もしませんでした。普通に入学をして学校生活を送り、普通に卒業すると思っていました。でも私は、5年生の途中から学校生活を送れませんでした。理由はクラスメイトからのいじめです。」「私は学校でみんなと同じように勉強がしたかったです。でも、また嫌な思いをすると思うと行けません。どうして、いじめの被害者だけがこんな辛い思いをしなければいけないのですか?」などと記したという。
作文提出後の2020年1月に学校から連絡があり、学校側は当該児童へのいじめに関する記述は掲載できないとして掲載拒否を告げた。
母親は法務局や札幌市教委に相談したが、学校の対応は変わらなかったとされる。その後母親が一部始終をツイッターに掲載し、マスコミにも連絡したという。取材があったからなのか、2020年2月に一転して「掲載を認める」とする連絡があった。
その後校長から謝罪の手紙が自宅に郵送されたものの、「校長」の肩書きはない「個人名」としての手紙で、差出人住所欄は学校の住所ではないなどの不審点もあった。
記事で指摘されている経緯通りだとすれば、学校側の対応はまずいものだったのかといえるのではないか。
いじめ加害者への「糾弾」「晒し」などの内容ではなく、いじめを受けた経験とその周辺のことを淡々と綴っていると受け取れる内容まで介入し、掲載拒否を図った形になっている。これでは、いじめの事実そのものが都合が悪い、だからなかったことにしようとしているとも受け取れる対応になってしまっている。
いじめは、いじめの事象をいじめとして認めた上で、被害児童へのケア、加害児童への指導、いじめをできるだけ未然に防げるような取り組み、再発防止や今後同種事案が万が一発生した場合の取り組みなど、各方面からの対応が必要となってくる。しかしいじめの事実を「なかったこと」にするような対応では、いじめが悪化することがあっても、解決することにはならない。
文春オンライン2020年3月16日「「私はいじめられていた」作文を卒業文集に不掲載 札幌市立小学校の“事なかれ主義”」が報じている。
https://bunshun.jp/articles/-/36623
いじめ・卒業文集不掲載の経過
記事によると、以下のような経過が記されている。
当該児童は3年の頃からいじめを受け、5年になるといじめが激化して不登校に追い込まれたとされる。当該児童の案件は、いじめ防止対策推進法上の「重大事態」と判断され、調査委員会が設置されているという。
2020年3月の卒業を控え、学校側は卒業文集を作成する際に、児童に対して「6年間の思い出の作文」として、「成長」「夢」「感謝」のいずれかのテーマに触れながら800字の作文を書くよう求めた。
不登校になっていた当該児童にも依頼があり、児童は「学校生活で学んだ事」として、いじめを受けて不登校になったことにも触れた作文を提出した。
児童は「6年前は、自分が卒業式に出ないかも知れないなんて想像もしませんでした。普通に入学をして学校生活を送り、普通に卒業すると思っていました。でも私は、5年生の途中から学校生活を送れませんでした。理由はクラスメイトからのいじめです。」「私は学校でみんなと同じように勉強がしたかったです。でも、また嫌な思いをすると思うと行けません。どうして、いじめの被害者だけがこんな辛い思いをしなければいけないのですか?」などと記したという。
作文提出後の2020年1月に学校から連絡があり、学校側は当該児童へのいじめに関する記述は掲載できないとして掲載拒否を告げた。
母親は法務局や札幌市教委に相談したが、学校の対応は変わらなかったとされる。その後母親が一部始終をツイッターに掲載し、マスコミにも連絡したという。取材があったからなのか、2020年2月に一転して「掲載を認める」とする連絡があった。
その後校長から謝罪の手紙が自宅に郵送されたものの、「校長」の肩書きはない「個人名」としての手紙で、差出人住所欄は学校の住所ではないなどの不審点もあった。
対応は妥当だったのか
記事で指摘されている経緯通りだとすれば、学校側の対応はまずいものだったのかといえるのではないか。
いじめ加害者への「糾弾」「晒し」などの内容ではなく、いじめを受けた経験とその周辺のことを淡々と綴っていると受け取れる内容まで介入し、掲載拒否を図った形になっている。これでは、いじめの事実そのものが都合が悪い、だからなかったことにしようとしているとも受け取れる対応になってしまっている。
いじめは、いじめの事象をいじめとして認めた上で、被害児童へのケア、加害児童への指導、いじめをできるだけ未然に防げるような取り組み、再発防止や今後同種事案が万が一発生した場合の取り組みなど、各方面からの対応が必要となってくる。しかしいじめの事実を「なかったこと」にするような対応では、いじめが悪化することがあっても、解決することにはならない。