文部科学省は2020年3月24日、2021年度から使用する中学校教科書の検定結果を公表した。

9教科と「特別の教科 道徳」をあわせて23社115点の申請があり、106点が合格した。

社会科歴史的分野では、「新しい歴史教科書をつくる会」が編集した自由社と、極右系の言論人・竹田恒泰氏が関与した「令和書籍」が不合格になっている。この2社については「欠陥箇所数が著しく多い」として、修正再申請が認められなかったという。

「つくる会」・自由社については、検定結果発表前の2020年2月に記者会見を開き、不合格になった事実を明かしていた。

http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-20809/

また技術・家庭科(技術分野)では2社が不合格となり、うち「教育図書」は修正の上で検定に合格したが、「イスペット」は再申請が認められなかった。

社会科教科書での記述


教科書検定では「欠陥箇所が著しく多い」と再申請不可になるルールなど、政府・政権に忖度する傾向が強まるのではないかという危惧がされていた。

集団的自衛権に関する記述では、検定意見によって「実力で阻止する」との記述が「必要最小限の実力」とするなどの修正がされたという。

一方で産経新聞によると、高校の世界史・日本史教科書では圧倒的なシェアを持つことで知られる山川出版社が中学校歴史教科書に新規参入し、「従軍慰安婦」の表現を使い合格したとして、「自虐色強まる」などとやり玉に挙げている。この表現を使ったところでどうということはないとは思われるのだが、右派からの攻撃の的にされることも想定される。

今後も必要な対応を


現時点で得られている情報は速報的な報道の範囲だけで、今後詳細が明らかになってくると思われる。

今回検定に合格した教科書は、6月前後の教科書展示会を経て、7~8月に採択が実施され、2021年度より使用されることになる。不正や一部の政治勢力によるごり押しではなく、生徒にあった教科書を採択させるために、動向を注視していきたい。
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