鹿児島県出水市立中学校2年だった女子生徒が2011年9月、九州新幹線に飛び込み自殺し、背景にいじめが指摘された問題があった。

この問題について、遺族側からの人権救済申立を受けた鹿児島県弁護士会が、いじめを否定した出水市教育委員会の調査を不十分として、2020年3月19日付で市教委に再調査を勧告したことが報じられている。

この事件では、女子生徒が所属していた吹奏楽部でいじめを受けていたことが指摘されていた。生徒が部活動で使用していた私物がなくなっていたことや、生徒はシャープペンシル集めを趣味にしていたがシャーペンが壊されていたことなどの情報があった。

出水市教育委員会は、そのような情報があったことを把握しながら、「いじめではない」と結論づけた。

遺族は2012年に鹿児島県弁護士会に人権救済申立をおこない、調査が続いていた。弁護士会は、2016年に一部開示された在校生アンケートの記述などから、いじめを疑わせるに十分として再調査を求めた。

この問題では、ほかにも市教委側が真相解明に消極的な状況が続いていたと指摘されている。地元マスコミでも報道が少なく、また市議会では一部にこの問題を取り上げた議員もいたものの、多数の議員が真相解明に消極的だったとも指摘された。

いじめがあったと疑わせる情報が多数ある以上、いじめの可能性を視野に入れて調査すべき案件ではないか。事件から8年半経っているとはいえども、きちんと調査した上で事実関係を解明し、必要な対応をとっていくことこそが重要である。

(参考)
◎いじめ否定の出水市教委調査は「不十分」 弁護士会、再調査勧告 鹿児島・中2自殺(毎日新聞 2020/3/29)
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