新型コロナウイルス問題での休校が長引くにつれて、突然俎上に上がった「9月入学への移行」問題。

2020年4月29日におこなわれた緊急の知事のテレビ会議で、東京都・大阪府・岩手県などの知事が「9月入学」に賛成の意思を示した。愛知県知事は「9月入学の理念には賛成」としながらも、今年すぐやるのは簡単ではないのではないかとして慎重な対応を示した。静岡県知事は「一般論として反対ではないが、どさくさに紛れて社会システム全体にかかわることについて制度導入するべきではない」として反対の意思を示した。愛媛県知事は「議論は否定しないが、性急な導入には反対」とした。

安倍首相は国会で「選択肢の検討は否定しない」とする答弁をおこなった。

9月入学の理念自体は、一般的にいえば「そういう考え方もありうる」という見解があるだろう。しかしこの時期に今すぐ「変更」の方向で舵を切るのが適切なのかといえば、これは違うという印象を受ける。

現在の状況は新型コロナウイルス問題での対応に全力を挙げる必要があり、学校の教育活動への影響についても日々検討課題が出ている。こんな状況で、9月入学制度という制度設計の根本をいじるという新たな課題を付け加えることは、今すぐすべきことなのかという疑問がある。

新型コロナ問題に思い切った対応が必要なところで、緊急でもない制度論を同時並行におこなうことで、コロナ対応も入学時期の問題も十分な検討ができなくなる危険性もある。これらのことで、学校現場への不要な混乱も生じかねない。
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