大阪府教育庁は2020年4月28日、新型コロナウイルス問題により臨時休業になっている学校について、再開時期に応じた授業時間確保策のシミュレーションを発表した。

大阪府では5月6日までの臨時休校を決めていた。4月下旬になり「国では緊急事態宣言延長の話も出ていることなどで、政府の動向を見極めながら判断する。学校再開の場合も一定の準備期間が必要」として5月10日まで引き続き休校としたうえ、5月11日以降についてはゴールデンウィーク中のできるだけ早い時期に再開の可否を決めるとした。

大阪府教育庁のシミュレーション


5月25日再開(ゴールデンウィーク2週間後)、6月8日再開(GW1ヶ月後)、7月1日再開、7月21日(1学期終了時)再開の4パターンを想定し、それぞれについて、長期休暇の短縮・中止や7時限授業・土日授業などで授業時間を確保するとするシミュレーションを策定している。

7月21日以降の再開を想定した場合、「小中学校での長期休暇の中止」「小中高校とも土曜授業を毎週実施」「中学校では7時限授業を計106回実施」「高校では日曜授業も4回実施」というスケジュールを出している。

これは児童生徒にとっても、教職員にとっても、相当厳しい日程となっている。新型コロナウイルス問題に伴い児童生徒への目配りや学校生活への配慮が必要なところに、通常よりも長時間授業では、過大な負担がかかることが予想される。

児童生徒に関する問題だけでなく、教職員の働き方の問題も深刻化しかねない。

授業内容・授業時数をそのまま振り替えるのではなく、うまく精選するような形で学びを保障することはできないのだろうか。

大阪教育文化センターの提言


大阪教育文化センターが、「【提言】学校再開に向けた、いまだかつてないとりくみを」として、学校再開後の取り組みや学校活動精選に関する試案を出している。

https://osaka-kyoubun.org/archives/2885

教育の専門家として児童生徒のケアに当たる問題、「9月再開」を想定しての授業カリキュラム精選案などについて触れている。

カリキュラム精選については、関連性の強い複数の単元をまとめて指導するなどの案を示している。

中学校3年・高校3年については受験を控えていることとも関連し、高校入試・大学入試の出題範囲の削減を求める案も出している。具体的には、例えば数学では、▼中学校3年の後半で学ぶ「円の性質、三平方の定理、標本調査」を高校入試の出題範囲から外す。▼理系大学志望の高校3年生が主に学び、理系での入試科目ともなる「数学Ⅲ」について、後半の「積分法」を大学入試の出題範囲から外す。――といった提案をしている。

これは一つの試案ではあるが、提案の方向性に同意する。

授業に充てられる時間が減少する上に、児童生徒のケアも必要な状況になると、学校や行政は従来のカリキュラムをそのまま消化させようと詰め込みを図るのではなく、必要な学力を保障しながらカリキュラム精選をおこなえるようにしていく施策こそが必要ではないか。
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