大阪市は2020年5月14日、市立学校統廃合に関する条例改正案を、同日に開会した大阪市会に提出した。

▼生野区の御幸森みゆきもり小学校と中川小学校を統合し、現中川小学校を校名変更する形で「大池小学校」(仮称)を設置する。▼西成区の梅南津守ばいなん つもり小学校と松之宮小学校を統合し、現梅南津守小学校を校名変更する形で「まつば小学校」(仮称)を設置する。▼扇町総合・西・南の3高校を統合し、「桜和おうわ高等学校」(仮称)を新設する。――の3件となる。

大阪市会で審議を経て条例改正案が可決された場合、小学校2件については2021年4月、高等学校については2022年4月に施行される。

2020年5月20日の市会教育こども委員会で審議される見通しとなっている。

大阪市では、維新市政によって、橋下徹時代以来「小規模校統廃合」の方針が加速している。

生野区の件については、地域の少子高齢化が著しいことなどから、生野区西部の12小学校・5中学校を4小学校と4中学校に再編し、「一小一中」方式(一部は義務教育学校)として小中連携教育を図る「生野区西部地域学校再編計画」が問題になっている。地域からは強い反対や懸念の声が出され、大阪市教委・生野区役所が計画を強硬に進めることへの反発も生まれていた。

大阪市会では生野区西部地域の学校統廃合について、「一旦立ち止まって見直すべき」などとする地域住民からの陳情がでたこともある。

http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-20126/

しかし2020年に入り、大阪市では、「統廃合には住民合意が必要」とする従来の見解を投げ捨て、小規模校の統廃合を行政主導で進めることを条例で明記する条例改正案を出した。条例は維新と公明党の賛成多数で可決し、2020年4月1日より施行されている。この条例は、生野区での住民の声を狙い撃ちするかのように制定されたとも指摘されている。

http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-20797/

今回統廃合対象となっている生野区の学校2校については、「生野区西部地域」の対象校の一つでもある。統廃合条例制定の勢いに乗って、一部地域を先行して統廃合させようとしているのではないかともうかがわれる。

委員会での審議の動向を注視していく必要がある。
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