文部科学省は2020年5月15日、新型コロナウイルス問題で休校が長引き授業に遅れが出ている問題に関連して、最終学年以外は授業内容の一部を翌年度以降に繰り越し、数年計画で遅れを取り戻すことを容認する方針を示した。同日付で同趣旨の通知を都道府県教育委員会などに出し、萩生田光一文部科学大臣が記者会見で発表した。

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最終学年(小学校6年、中学校3年、高校3年)については、優先して分散登校させることで授業を進めることを想定している。

これらの措置については、一定の前進ではある。一方でまだ課題が多く、さらに問題点を解決していく必要がある。

休校が長引き、最大で前年度3月から新年度の4・5月分の3ヶ月相当の授業ができない状態となっている。これらの遅れを取り戻すために各地の教育委員会では「夏休みの大幅短縮」「7時限授業の実施」などを打ち出す状態となっている。これでは児童・生徒や教職員の負担が強まり、不登校などの児童生徒への影響、教師にとっても労働条件の悪化などの問題をもたらす危険性があると危惧されている。

それらの負担を軽減する手法として、複数年計画での繰り越しなどは一定の手法ではある。

その一方で、最終学年についてはそういう考慮がなされていないことにもなる。また中学校3年・高校3年についてはそれぞれ高校受験・大学受験も控えている。例えば試験範囲から3年後半学習範囲を省くなどの措置をとるなど、入試に関することについても早期に検討していく必要がある。

さらには必要授業時数の消化にとらわれることなく、学習指導要領の特例的なスリム化で、関連する複数の単元はまとめて学習する、教科間で内容が重なるものは教科間でも調整して学習する、国語などでは教科書の隅々まで消化するのではなく教材精選型にするなどの工夫も必要になってくるだろう。そういう方針についても踏み込んで検討すべきではないかと思われる。
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