萩生田光一文部科学大臣は2020年6月12日の閣議後会見で、2021年1月に実施予定の大学入学共通テストについて、コロナ禍での学習の遅れを不安視する受験生向けの追試実施も視野に入れていることを明らかにした。

センター試験で実施されてきたような「当日の体調不良者などを対象にした追試」と同等の方式でおこなうことや、時間を少しほしいという受験生が選択できる方式などを検討するという。

各大学の個別入試についても、追試実施や選択問題の設定など、学習の遅れを不安視する受験生への配慮を求めた。

一方で大学や高校の関係者からは、追試を実施する場合、新たな試験会場や試験官等運営要員の確保が困難とする見解も出され、引き続き文科省と関係先で意見交換して検討するという。また「高校関係者は、約7割が当初予定での試験実施を望んでいる」とする文科省の調査結果も明らかにした。

新型コロナウイルスによって学校では臨時休業・いわゆる休校の措置が生じ、最大では2年時の3月から3年進級後の5月まで、約3ヶ月分の授業の遅れが生じている。

大学入学共通テストは主に高校1・2年での学習範囲から出題されるという名目にはなっている。一方で、高校のカリキュラムや、理科・地歴公民での受験科目選択の状況によっては、場合によっては3年で学習する範囲も出題範囲に含まれ、単元の一部を未習のまま受験に臨む可能性もあることになる。

また最大3ヶ月間に及ぶ臨時休業の影響で、落ち着いて勉強できる状況になかったという不安もありうる。

ただでさえセンター試験から大学入学共通テストへと、試験実施方式が大きく切り替わる年にあたっている。さらに大学入学共通テストでは、「英語は民間英語試験活用」「国語や数学は一部記述式で実施」などの新方式が打ち出され、受験生や大学・高校・予備校関係者から大きな批判が起きて当面見送りとなった経緯もある。

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それに続いて、コロナ禍が不安に拍車をかける形になってしまった。

受験生の不安を少しでも解消できるように、試験を実施する側もよりていねいな対策をとっていくことが望まれている。
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