札幌市内の北海道立高校に通っていた当時1年の男子生徒が2013年に自殺したのは、所属していた吹奏楽部での顧問のパワハラ同然の指導が原因だったとして、遺族が北海道を訴えている訴訟で、2020年6月17日に札幌高裁で控訴審の最終弁論がおこなわれ結審した。

判決は2020年10月9日の予定となっている。

事件の経過


生徒は2013年3月3日、札幌市営地下鉄の列車に飛び込み自殺した。

この生徒は2013年1月以降、部内で別の生徒とメールのやりとりをめぐってトラブルになったが、顧問教員は相手の生徒を不問にして、この生徒のみ一方的に責め立てるような指導をおこなったことが指摘された。さらに部内で別のトラブルも起き、顧問教員がこの生徒を恫喝すると受け取れるような一方的な叱責をおこなったと指摘された。

遺族は顧問教員の行為について、パワハラ同然の指導で生徒を追い詰めたと指摘し、約8600万円の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴した。2019年4月25日の一審札幌地裁判決では、事件後に学校が実施したアンケートの結果を学校側が破棄したことについては違法性を認め、約110万円の損害賠償を命じた。一方で、顧問の行為をパワハラとは認定せず、自殺と指導との因果関係についても認めなかった。

判決を不服として、遺族側が控訴していた。

最終陳述に立った母親は、「子どもに死にたいと思わせる行為が教育のはずがない」と訴えた。

不適切と思われる指導について、高裁で踏み込んだ判断がなされることを願うものである。
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