大阪府立大学と大阪市立大学を統合して設置する予定の新大学について、大阪府知事・大阪市長・運営母体の独立行政法人の長が2020年6月26日に協議をおこない、統合新大学の名称を「大阪公立大学」(英語名称:University of Osaka)とすることを決定した。

開学は2022年度を予定している。

大学統合については、大学側からの要望があったわけではない。維新政治によって、政治主導で上から押しつけられたものである。

大阪市を廃止・解体し市域を特別区に分割しようと図るいわゆる「大阪都構想」に関連して、当時の大阪市長・橋下徹や維新が「大阪府と大阪市が同じ施設を持っているのは二重行政」と難癖を付け、同分野の類似施設があるものについては府立施設と市立施設の統合を強引に図ったものである。

その際に病院・公衆衛生機関・特別支援学校・高等学校などが「二重行政」としてやり玉に挙げられた。病院や公衆衛生機関については、相互補完だったり、得意分野その他での役割分担を果たしていたものを統合したことで、逆に機能が低下するなどの弊害がすでに現れている。新型コロナウイルス問題では、公衆衛生部門が府市統合の上に独法化したことで、大阪府内での迅速な対応を妨げる要因となったとも指摘されている。

「大阪都構想」では、大学も「二重行政」の言いがかりの対象になった。大阪府立大学と大阪市立大学を統合するという方向性が、政治主導で押しつけられることとなった。

教員や学生・卒業生などからは異論も根強いが、行政主導で、府立大学・市立大学を運営する独立行政法人の統合などの統合準備が進められてきた。

そしてこの日の新大学名称決定に至った。

ツイッターなどでの情報を総合すると、事前に教員や学生にも名称案は諮られず、教員のところには「この日に名称を決定することになった」という連絡があっただけの様子。

阪大からの異論


大学の新名称が発表されたことで、大阪大学にも影響が飛び火することになった。

大阪公立大学の英語名称が「University of Osaka」と発表されたことで、「Osaka University」の英語名称を使用する阪大が「名称は混乱を招く」「意見交換がないまま決定され残念」として批判する見解を、大学総長名で出した。

https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2020/06/2601

このような英語名称を出せば、阪大からクレームが出るのは容易に予想されることではある。しかし関係者との意見交換を経ず、トップダウン的に決めてしまったことで、不要な混乱を招いたことになる。

維新政治のおかしさ


維新政治のやり方はいつもこのようなもの。関係者や影響を受けるであろう相手には一切の根回しや意見聴取などをせず、一方的に決定して押しつけ、混乱を生んでも知らん顔。

例えば、2020年4月の十三市民病院の「コロナ専門病院化」も、松井一郎市長が一方的に報道発表したものの、病院関係者は寝耳に水で、病院スタッフも、手術を予定していた患者・出産を予定していた妊婦も途方に暮れていた。十三市民病院の問題と同時発表した「医療現場で使用する雨合羽を市民から寄付してもらう」も、市役所ロビーに山積みで仕分けしきれない状態になり、一部は教育委員会事務局経由で学校に押しつけたという。さらに消防からは、可燃物が大量に山積みになっているのは法令違反になるという指摘までされる始末。

このような混乱や現場関係者への不利益は、他の内容でも、維新が首長になってからはいくつも発生している。

混乱を生み、不利益は現場に押しつけるだけの維新、今回の大学の問題でもまたおかしなことをしてくれたのかという印象を受ける。
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