熊本県立高校1年だった女子生徒が2013年に自殺したのはいじめが原因・学校側は適切な対応を怠ったとして、生徒の遺族が熊本県を訴えていた訴訟で、福岡高裁は2020年7月14日、県の責任を認めなかった一審熊本地裁判決(2019年5月)を変更して、学校側の不適切対応で生徒に精神的苦痛を与えたと認定し、熊本県に対して220万円の損害賠償を命じる判決を出した。

事件の経過


この問題は2013年、熊本県立高校の生徒寮で起きた。県内の遠隔地出身だった生徒は学校近くの寮に入寮した。しかし同じ寮の同級生女子生徒から寮の仕事を押しつけられるなどし、それに抗議すると、私物を隠されるなどする・LINEで「レスキュー呼んどけよ」など危害をほのめかす内容や悪口などを書き込まれるなど、いじめを受けたとされる。

生徒は夏休み中の2013年8月に自殺した。

学校側はいじめを把握し、担任教諭や寮監が関係生徒を指導していたとされるが、遺族側は「その際に不適切対応があった」と訴えていた。

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一審ではいじめを一部認定し、加害生徒に11万円の損害賠償を命じる判決を出した。加害生徒については、いじめ行為が不法であり賠償責任があると認定したものの、自殺との因果関係については明言を避けた。加害生徒に対する部分のみ一審で確定した。

一方で一審では「寮監のいじめ対応は不適切とはいえない」と判断して熊本県の責任が認められず、県に対する部分を不服として遺族側が控訴していた。二審で逆転判決が出たことになる。

判決では「自殺の予見可能性」については踏み込んで認定しなかったなどの点もあるが、当該いじめ事件での対応について学校側の対応に不適切な点があったと指摘されたことは、重く受け止めなければならない。
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