共同通信2020年7月21日付が特集記事『子どもの自殺、調査や公表阻む学校 遺族不安あおる発言の数々』を出している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3101af4d9ab7fc2a8a18dbc5aa4fbca90890abea
学校で児童生徒の自殺事案が発生した際、学校側が遺族に圧力をかけたり不安をあおるなど、調査や公表を断念させるような言動があると指摘している。
記事では、3件のケースについて事例を紹介している。
さいたま市立南浦和中学校3年だった男子生徒が2018年8月に自殺し、所属していた部活動の顧問から不適切な指導があったことが背景にあると指摘された問題。この事件では、自殺当日に校長が両親を訪問し、「公表すればマスコミが来る」「保護者会で遺族が説明することになる」と圧力をかける発言をおこない、「不慮の事故」として発表することを求めた。学校による調査も「自殺」を伏せた形で実施され、原因は「不明」と結論づけた。
再調査を求めることを検討していた両親のところに、校長がさらに訪問し、「情報は地域住民に漏れる」「報道陣が自宅を取り囲む」「同校に入学予定の妹のことを置いて調査にかかりきりになることもある」などと、暗に断念を迫るような発言を繰り返した。
遺族は一度断念の方向に傾いたものの、支援者からの後押しで思い直し、第三者委員会の設置を要望して調査中となっている。
宮城県亘理町立中学校2年の男子生徒が2019年2月に自殺し、教師が当該生徒にいじめまがいの行為をしていたことが背景にあると指摘された問題では、自殺当日に校長が訪問し、「マスコミが押し寄せる」などと発言した。遺族は「そっとしておいて」と返答したが、その発言が悪用され、学校や町教委は事件の隠蔽を図った。
保護者自らが記者会見をおこなって事件を公表したが、公表直後には「話が違う」と町教委から抗議があり、学校や町教委はマスコミ報道を受けた保護者会では「説明が遅れたのは遺族の意向」などと説明していたという。
別のある県で、在籍校で生徒自殺事件を経験した中学校教員の証言も掲載されている。校長が「亡くなった生徒のため」と箝口令を敷いたが、その後自殺した生徒が同級生から金品を脅し取られるなどのいじめがあり、担任が事実関係を把握しながら放置していたことがわかったという。
これらのケース、また当該記事では取り上げられていないケースでも、児童生徒の自殺案件や学校関係の事件事故(いじめや、教師の暴力行為・いわゆる「体罰」など)では、学校側がこのような発言をおこなって事実上の圧力・隠蔽につながり、調査を妨害する形になり、被害者側の不信感をつのらせてこじらせるケースは、報道されているだけでも多数ある。
隠蔽では何も生まれない。事件を未然に防ぐ取り組みも重要だが、起きてしまった場合は隠蔽せずに事実を直視して真相解明をおこない、関係者のプライバシーに関する部分には慎重な配慮をした上で事件の経過を公表することが、同種事件再発防止のヒントにもなってくる。隠蔽では何も生まれないどころか、同じような事件につながる危険性もある。
また隠蔽が全国あちこちで発生していることを考えると、特異な主義主張を持つ・ないしは極端に対応能力が低い個人・学校がたまたま対応することになったという個人レベルの話ではなく、学校現場に共通するような何かの「空気」があるのではないとも思える。その「空気」についても、検討していく必要がある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3101af4d9ab7fc2a8a18dbc5aa4fbca90890abea
学校で児童生徒の自殺事案が発生した際、学校側が遺族に圧力をかけたり不安をあおるなど、調査や公表を断念させるような言動があると指摘している。
隠蔽の事例
記事では、3件のケースについて事例を紹介している。
さいたま市立南浦和中学校(2018年)
さいたま市立南浦和中学校3年だった男子生徒が2018年8月に自殺し、所属していた部活動の顧問から不適切な指導があったことが背景にあると指摘された問題。この事件では、自殺当日に校長が両親を訪問し、「公表すればマスコミが来る」「保護者会で遺族が説明することになる」と圧力をかける発言をおこない、「不慮の事故」として発表することを求めた。学校による調査も「自殺」を伏せた形で実施され、原因は「不明」と結論づけた。
再調査を求めることを検討していた両親のところに、校長がさらに訪問し、「情報は地域住民に漏れる」「報道陣が自宅を取り囲む」「同校に入学予定の妹のことを置いて調査にかかりきりになることもある」などと、暗に断念を迫るような発言を繰り返した。
遺族は一度断念の方向に傾いたものの、支援者からの後押しで思い直し、第三者委員会の設置を要望して調査中となっている。
宮城県亘理町立中学校(2019年)
宮城県亘理町立中学校2年の男子生徒が2019年2月に自殺し、教師が当該生徒にいじめまがいの行為をしていたことが背景にあると指摘された問題では、自殺当日に校長が訪問し、「マスコミが押し寄せる」などと発言した。遺族は「そっとしておいて」と返答したが、その発言が悪用され、学校や町教委は事件の隠蔽を図った。
保護者自らが記者会見をおこなって事件を公表したが、公表直後には「話が違う」と町教委から抗議があり、学校や町教委はマスコミ報道を受けた保護者会では「説明が遅れたのは遺族の意向」などと説明していたという。
A県・中学校
別のある県で、在籍校で生徒自殺事件を経験した中学校教員の証言も掲載されている。校長が「亡くなった生徒のため」と箝口令を敷いたが、その後自殺した生徒が同級生から金品を脅し取られるなどのいじめがあり、担任が事実関係を把握しながら放置していたことがわかったという。
隠蔽では事態をこじらせるだけ
これらのケース、また当該記事では取り上げられていないケースでも、児童生徒の自殺案件や学校関係の事件事故(いじめや、教師の暴力行為・いわゆる「体罰」など)では、学校側がこのような発言をおこなって事実上の圧力・隠蔽につながり、調査を妨害する形になり、被害者側の不信感をつのらせてこじらせるケースは、報道されているだけでも多数ある。
隠蔽では何も生まれない。事件を未然に防ぐ取り組みも重要だが、起きてしまった場合は隠蔽せずに事実を直視して真相解明をおこない、関係者のプライバシーに関する部分には慎重な配慮をした上で事件の経過を公表することが、同種事件再発防止のヒントにもなってくる。隠蔽では何も生まれないどころか、同じような事件につながる危険性もある。
また隠蔽が全国あちこちで発生していることを考えると、特異な主義主張を持つ・ないしは極端に対応能力が低い個人・学校がたまたま対応することになったという個人レベルの話ではなく、学校現場に共通するような何かの「空気」があるのではないとも思える。その「空気」についても、検討していく必要がある。