高校では2022年度1年生より学年進行で実施されることになっている新学習指導要領により、高校の国語教育が大きく変わることになっている。

これに関連して、『Diamond Online』に『「本が読めない人」を育てる日本、2022年度から始まる衝撃の国語教育』とする論考が掲載されている。

https://diamond.jp/articles/-/245339

この内容は、考えさせられる。

新学習指導要領に伴い、高等学校における教科「国語」は科目構成が大きく変わり、内容も変わる。

新指導要領では、1年の必修科目での文学的な文章の学習や古典学習を減らし、また2・3年での現代文科目を再編成して、いずれも「実用的な文章重視」へと大きく変更される。2・3年では、大学入試との関係で、小説や文学的な文章の学習時間が減るのではと危惧されている。

センター試験に代えて2021年より実施される「大学入学共通テスト」のプレ問題が2017年時点で示されている。国語では生徒会の規約、自治体の広報、駐車場の契約書などが出題され、新学習指導要領の内容が先取りされたとして、驚きをもって迎えられていた。

テスト問題は国語の読解力というよりも、情報処理的な内容になっていたとのこと。

http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-18550/

高校の国語の教科書も、従来掲載されていた文学や評論が少なくなり、実用文が並ぶような構成へと大きく変更されることが予想が付く。実用文偏重により、文学や評論をじっくりと読んで考える力を付ける機会が少なくなり、読解力や論理的思考力が逆に落ちてしまうのではないかと危惧がされている。

論考の筆者によると、普段からよく本を読み読解力を付けている生徒は改めて実用文の勉強をする必要はない、一方でもともと本を読まず読解力の乏しい生徒は、国語の教科書で触れる文章が実用文ばかりになることで文学や評論に触れる機会がなくなる、そのことで「文学や評論に親しむ教養人と実用文しか読まない非教養人の二極化が進むに違いない」と論じている。

この点は非常に危惧されることである。知識の二極化が進むと、社会全体にも影響を与えかねないし、基礎的な学力・全体の「底上げ」を図るという意味でも問題になってくる。

知識の二極化は、めぐりめぐって階層の固定化などにもつながりかねず、好ましいものだとは思えない。

高校国語科の科目再編に伴う問題点は、国語・国文学や国語教育の関係者以外には、それほど注目されていない、一般には問題があまり浸透していないとも指摘されている。一般にも問題点を知らせていくことも必要になる。
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