NHKニュースが2020年8月25日、『子どもが日傘で学校、ダメ?』という記事を出した。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200825/k10012582871000.html

猛暑・酷暑の影響で、登下校時に子どもに日傘を持たせようとした保護者が、学校から「日傘は禁止」といわれたという訴えがSNS上で相次いでいるとして、その背景を掘り下げて取材している。

この数年は猛暑の年が続き、学校での熱中症事故も相次いで報じられている。朝の時点で気温30度前後になる日もあったり、最高気温が体温並みに上がる日も出ている。

2020年は新型コロナウイルスによる臨時休校が春にあった影響で、夏休みを短縮し、8月後半から授業を始めている自治体も多い。2020年は、特に8月半ば以降は猛暑・酷暑が続いている状態になり、猛暑と学校再開が重なるような形にもなってしまった。

「日傘禁止」の通知


NHKはある保護者の体験談を紹介している。2020年8月中旬、小学校低学年の子どもが学校から下校して帰宅した際、熱中症になりかけのような体調不良を訴えた。手当てをしてその日は回復したものの、保護者は次の日から登下校時に日傘を持たせるようにした。自宅から学校までは子どもの足で徒歩30分ほどだという。

しかし学校側は「日傘は禁止」と通知した。理由は「別の児童に傘がぶつかるとケガをするおそれがある」「低学年児童の場合、傘で手がふさがると危ない」。

当該校の地域の教育委員会はNHKの取材に対して、「基本的には各学校ごとの判断。当該校では日傘を一律禁止はしていないが、登校時の校門前の混雑などで傘があたる心配もあり、できるだけ別の方法での対応を呼びかけている。学校側がケガの心配をするあまり、誤った伝わり方をしたことも考えられる。学校側とよく話し合ってほしい」(大要)とする見解を回答したという。

また別のA地域の教育委員会は、「日傘は暗い色が多く、周りも見えにくくなる。登下校時の交通事故のリスクがある」として日傘を推奨しないという立場を表明した。一方でさらに別のB地域では、熱中症対策と、傘の幅によるソーシャルディスタンス確保の目的で、日傘を推奨しているという。地域によって対応や見解が分かれている状態になっている。

柔軟な対応を


猛暑・酷暑により、登下校時の熱中症のリスクが指摘される状況になっている。通学路は長時間の徒歩だったり、日陰が少ないなど、熱中症対策としてはあまりよくない条件も珍しくない。特に下校時は気温がピークにあたる時間帯でもある。

日傘がほかの児童にあたるなどしてケガをさせるおそれがあるという不安は、それはそれで一理あるものではある。

一方で「傘で手がふさがれると危ない」「交通事故のリスクがある」などの理由については、「その理由なら、雨の日に雨傘を差さないということになってしまうが、どうなのか」という疑問が出ることになる。その点については疑問が尽きない。

何よりも、子どもの安全が第一である。各学校ごとに学校の実情に合わせて柔軟に考えながら、よりよい対応を取ってほしいと願う。
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