大阪市では市の廃止・解体、いわゆる「大阪都構想」の是非を問う住民投票が実施される見通しとなっている。

大阪維新の会が大阪市の行政について「二重行政」と難癖を付け「府市統合」として大阪府への一元化を図るとしている。しかし実際には、自治体としての財源と権限が脆弱になり、住民生活に悪影響が出ることが指摘されている。

大阪市の廃止解体に反対するグループがネット上で、『「都」構想の先取り 市立支援学校の府移管で何が起こったか』とする記事を発表した。

https://note.com/nokosoosaka/n/nf528f5b0fea9

大阪市ではいわゆる「大阪都構想」に先立ち、市政与党の大阪維新の会が「二重行政」などとして、学校・病院・公衆衛生施設など一部分野については、先行して府立移管や府市統合などを図ってきた。

特別支援学校の大阪府移管で何が起きたか


大阪市立特別支援学校も「二重行政」とやり玉に挙げられて府立移管の対象とされた。2016年度に大阪府に移管され、大阪府立支援学校となった。

記事は、大阪市立特別支援学校に長年勤務し、府立移管後に退職した元教員へのインタビューで構成されている。

結論から言うと、府立移管で教育条件は大きく低下したとのこと。当時大阪市や大阪府は「移管で教育条件は変わらない」と表明していたにもかかわらず、結果的には反故にされたような形となっている。

記事でのインタビューによると、「学校への予算が減らされ、市立時代は校費で購入していた教材を保護者負担に切り替えた。学校図書館の書籍購入費も大きく減った」「大阪市独自で手厚く配置していた実習教員配置が府の基準に変更され、基準が切り下げられて減らされた形になった」「給食が民間委託された」などの状況が指摘されている。

教育条件の「維持」どころか、大阪府の水準に合わせたことで、旧大阪市立の学校では大幅に低下したことになってしまった。

「大阪都構想」では各分野のサービス低下


いわゆる「大阪都構想」では、大阪市を廃止して特別区に移行することによって、水道、ゴミ処理、消防、道路、都市計画、区役所、国保料、公営住宅、保育所、児童相談所、学校、図書館など各分野の具体的な内容を挙げて、値上げや統廃合・権限の低下なども含めたサービス水準の低下の危険が指摘されている。

特別支援学校では、「二重行政」と難癖を付けられて先行して大阪府に移管された結果、実際に教育水準の低下が起きてしまっている。仮に「都構想」が強行された場合、他の事業分野でも、大阪市で独自に上乗せしていた施策が奪われたり、財源が奪われるなどして、このような水準低下が起きることが想像される。

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