文部科学省は、教員免許更新制の抜本的見直しに関する調査に乗り出す方針を固めた。

萩生田光一文部科学大臣は2021年3月12日、中央教育審議会の総会であいさつし、教員養成・採用・研修制度のあり方を諮問した。その際に、教員免許更新制の問題を優先課題として審議し結論を出してほしいとする意向を示した。

教員免許更新制


教員免許更新制は、当時の第一次安倍晋三内閣によって打ち出された。2007年に教育職員免許法が改正されたのち、2009年度より施行されている。

当時の安倍首相は教育への介入強化を意図し、教員免許更新制もその一環となっていた。

従来は一度教員免許を取得すると、有罪判決確定や懲戒免職などの例外を除いて終身有効だった。しかし教員免許更新制の導入によって、10年の更新期限が示され、更新講習を受ける必要が生じた。

導入当時の政府側の主張によると、「教員の質を高める」とされていた。

教職員への負担、教員不足の一因となるなどの弊害も


しかし実際には教員の資質向上にはつながらず、更新時の現職教員への負担となるだけだった。約30時間にも及ぶ更新講習を学校現場から離れておこなうことや、また受講費用も原則として自費になることなど、問題が指摘された。

また教員免許更新制導入により、更新講習の期限を誤認して、結果的に免許失効で失職となるケースも、いくつか報告されている。

教員免許を取得しても、別の職に就いたり、教員として勤務経験があっても何らかの事情で一度退職した人については、教員としての採用を希望しても、一定期間経過すると教員免許の回復講習受講が必要となり、個人での負担は多大となっている。このことで、教員免許を取得していても教員として勤務していない人からの登用が難しくなり、教員不足に拍車をかける一因となっているとも指摘されている。

これらの問題が表面化しているにもかかわらず、教員免許更新制をこれ以上続ける必要はないと考えられる。
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