2021年4月25日より大阪府などを対象に実施されている緊急事態宣言に関連して、大阪市で「オンライン授業」をおこなうと大々的に宣伝したものの、学校現場や保護者からは不評だという声が相次いで聞かれている。

http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-22166/

Yahooニュース2021年5月6日配信『大阪市の教員から怒りの声、オンライン授業に登校での給食』や、『しんぶん赤旗』2021年5月8日付『「原則オンライン授業」発言 子どもの学び止めるな 大阪市長に怒りの声』など複数の記事になっている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/maeyatsuyoshi/20210506-00236346/

この問題では、緊急事態宣言が出される見通しになったことに伴い、松井一郎大阪市長が教育委員会の頭越しに「オンライン授業をおこなう」などと記者会見で発表したことが発端となっている。

一方で教育委員会は市長方針を一部修正する形で、一部オンライン授業との併用の形で実施することにした。

小学校では「1・2時限をオンライン授業、3時限めに登校して健康観察・オンライン授業の復習・給食のあと帰宅、午後は家庭学習」、中学校では「午前中1~4時限をオンライン授業、昼に登校して給食、午後は学校でオンライン授業の復習」を標準モデルとして例示し、具体的な1日のスケジュールなどについては学校の状況に応じて柔軟に設定できるともした。

大阪市教育委員会はマスコミに対して、ある市立小学校を取材校として紹介し、オンライン授業初日には各テレビ局や新聞社がその学校での授業の様子を報道した。当該校ではオンライン授業がうまくいっていたとされるが、その学校はかなり前からICTを活用した授業実践の研究をおこなっていたモデル校でもあったという。

実際は大阪市内でも実施状況に差があり、「保護者が仕事を休めない・設備が整っていないなどの事情で、朝から登校させる」「市のネットワークでは、全校で一斉に配信できる容量がないので、オンライン授業実施日を交代で割り当て、日によってはプリント学習などで対応する場合もある」などの状況も生まれている。

報道をしっかりと読むと「オンライン授業がうまくいっていない例」も紹介されていたものの、モデル校とされた当該校での取り組みが大きく報じられてその学校での印象が先行したような形になったこともあり、こういう報道があると、大阪市の全部の学校でオンライン授業がきちんとやられていると世間の人たちは受け取りますよね。学校現場は、たまったもんじゃありません(Yahooニュース『大阪市の教員から怒りの声、オンライン授業に登校での給食』)と危惧する教員の声もあるという。

さらに大阪市以外の府内の自治体では、小中学校では通常の対面授業をおこなっている。

これらのことから、オンライン授業で学びに遅れが出る・学校や地域で学びに差が出るのはおかしい・通常の対面授業に戻すべきではないかという苦情も出ているという。また市長が一方的に頭ごなしで学校に指示したことでの混乱や不満も生まれている。『しんぶん赤旗』によると、中学生の子どもを持つ大阪市内のある保護者の声として「一日も早く通常の対面授業に戻してほしい」と訴える声が紹介されている。

また感染防止としながら授業をオンラインにして、感染リスクが一番高いとされる給食を実施しているというのもちぐはぐ、市長の「人気取り」ではないかと疑問視する声も指摘されている(Yahooニュース『大阪市の教員から怒りの声、オンライン授業に登校での給食』)。

オンライン授業という形態そのものを即全面否定するというのも正しくないのだろう。一方で大阪市でのやり方はあまりにも性急で準備不足過ぎて、また学校現場の状況を十分に把握せずに頭ごなしにおこなったことで、学校の実態に合っていないのではないかという印象も受ける。

感染防止対策などは当然重要なことであり、しっかりとおこなっていく必要がある。その一方で、学びのあり方などについてもていねいに検討し、学校現場の実態に合ったようなよりよい形での実施が求められる。