産経新聞(ウェブ版)が『首相、「従軍慰安婦」の教科書記述認めない考え「政府の統一見解踏まえ対応」』とする記事を、2021年5月10日付で配信している。

https://www.sankei.com/politics/news/210510/plt2105100014-n1.html

2021年5月10日午前に開かれた衆議院予算委員会での菅義偉首相や萩生田光一文部科学相の答弁で、学校教科書での「従軍慰安婦」記述を不適切とし、来年度以降の教科書検定に反映するよう対応していきたいとする方針を示したことを報じている。

維新議員の質問


記事では明記されていないが、この質問をおこなったのは維新の藤田文武衆議院議員。

藤田議員は、同党の馬場伸幸幹事長・衆議院議員が従軍慰安婦問題の教科書記述に関する質問主意書を出し、政府から答弁書が来たことを紹介した上で、「従軍慰安婦問題に関する教科書記述は好ましくない」と、山川出版社の中学校社会科歴史的分野の教科書を名指ししながら質疑をおこなった。

山川出版社は2021年度使用版より、中学校社会科歴史的分野の教科書を発行している。2020年教科書検定結果が明らかになると、産経新聞など右派勢力が、同社教科書には従軍慰安婦の記述があるとして問題視し、やり玉に挙げていた。

そもそも当該予算委員会で、このタイミングでこのような質問をおこなったこと自体、大阪府の維新政治のもとでの「医療崩壊」状態へのごまかしを図ったものではないかとも感じる状況になっている。

この日の予算委員会では、他党議員はそれぞれ、新型コロナウイルスでの大阪府の状況を告発して「医療崩壊」だと訴え、国としても大阪府に必要な支援体制を取るよう求める質問をおこなっている。

維新議員は教科書問題のあとに新型コロナウイルス問題にも触れたものの、「私権制限」などの方向での質疑をおこなった。

維新の歴史修正主義的立場


教科書問題を取り上げるタイミングが仮に新型コロナウイルス問題とは直接関係なかったとしても、維新が歴史修正主義的な立場をもっていることが改めて浮き彫りとなっている。

維新は大阪では、過去には育鵬社教科書が「一番ふさわしい」として申し入れをおこなったことがあった。また2019年の統一地方選挙政策としても、「ふさわしい教科書」などについても言及していた。それらの立場であることを浮き彫りにしたような形にもなっている。
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