大阪市教育委員会が「オンライン授業に伴う授業時数不足を補う」として、市立小中学校の夏休みの短縮を検討していることがわかった。

松井一郎大阪市長は2021年5月12日の記者会見で、「学ぶ権利を確保するためには仕方がない」と述べたという。また大阪市教育委員会の担当者も「真夏の暑い時期の登校は避けたいが、緊急事態宣言もいつまで続くかわからない」などとした。

オンライン授業は授業時数として計上されないということで、学習指導要領で定められている授業時数をおこなうためにはやむを得ないとしている。

平常時は、単純に換算して、小学校では1日あたり5~6コマ、中学校では1日あたり6コマの授業をおこなうことになる。しかし大阪市では一部をオンライン指導とした上で途中で登校させて対面指導をおこなっている方式で、緊急事態宣言期間中は1日あたり1~2コマ程度の対面授業しか授業時数として算入されていないということになる。授業時数に算入される対面指導でも復習などが中心で、新しい単元の学習などには入れず、授業の進度が遅れ気味になっているという話も聞く。

それらのことから、授業時数を確保するために夏休みを短縮することを検討しているとされる。

2020年度は、4~5月に臨時休校がおこなわれた分を取り戻すとして、大阪市立の小中学校では8月7日まで授業を実施した。その一方で真夏の暑い時期の登校は、登下校や授業などの学校活動の際に熱中症などの事故につながりかねないリスクがあり、好ましいことだとはいえない。

条件が整っていないのにオンライン授業を強行、行政としてオンライン実施に必要な措置をとらずに細部は学校に丸投げ、実際は不具合なども出てプリント学習なども併用せざるを得なくなる、挙げ句の果てには授業時数が足りない名目で夏休みの短縮も検討――撹乱させているのかと疑わざるをえない状態になっている。

(参考)
◎大阪市立小中、今年も夏休み短縮検討 市長「仕方ない」(朝日新聞 2021/5/12)
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