東京都八王子市立中学校2年だった女子生徒が2018年に自殺し、背後にいじめが指摘されていた問題を調査していた調査委員会は2021年5月14日、「自死の直接の原因となった心理的苦痛等に一定の影響を与えたものと考えられる」とする再調査報告書を発表した。

この事案については、2019年8月に発表された調査報告書ではいじめと自殺との因果関係を認めず、遺族側が再調査を申し立てていた。

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事件の経過


この事案は、生徒が1年だった2017年、所属していた部活動でのトラブルがあったことがきっかけになったとされている。生徒は家族旅行のために部活動を休むと告げたことで、上級生からのSNSで中傷されるなどのいじめの標的になったという。生徒は登校できない状態になった。2年進級時の2018年4月には別の学校に転校したものの登校できない状態が続き、2018年8月下旬に自殺を図り、翌月死亡した。

この問題では、学校側の対応に問題があった疑いも指摘された。

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再調査にあたった調査委員会では、SNSでの書き込みや生徒の遺書内容などを分析し、「いじめは心の傷として長く残存し、強く記憶に刻まれ、死を決意した時にも思い出されたものであることは紛れもない事実である」と判断した。

いじめが心理的な傷となり後遺症となって長期間残存したことを認定し、自殺の引き金となったことを明確に認めているような形になっている。このような指摘がおこなわれたことは、重く受け止めなければいけないことである。

また学校側の対応にも問題があったことを指摘しているという。今後同様の事案が発覚した場合にも適切な対応がとれるように、教訓を踏まえていく必要があろう。

(参考)
◎八王子の中2自殺「いじめが影響」 第三者機関が再調査(朝日新聞 2021/5/14)
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