松井一郎大阪市長は2021年5月17日、大阪市立小中学校での一部「オンライン授業」について、5月24日から通常授業に戻す方針を表明した。

学校の希望によっては、児童・生徒の体力低下が懸念されることでの「ならし期間」として、24日を待たずに短縮授業の形での再開も認めるとしている。

「一部オンライン」の経過


新型コロナウイルス問題による3度目の緊急事態宣言が2021年4月25日に発令されたことを受け、大阪市ではオンライン授業を取り入れたとする学習活動をおこなっていた。

松井一郎大阪市長が記者会見で、教育委員会や現場を飛び越えて突然「原則オンライン授業」と言い出した。しかし現実的には困難で、教育委員会は「一部をオンライン授業にし、短時間だけ登校させて対面指導と給食を実施」とするモデル案を各小中学校に提示した。

小学校の場合、「午前中の1~2限はオンライン指導、午前10時半頃までに登校して3・4限の指導をおこない給食、給食終了後に下校して自宅学習」を標準モデルとした。中学校の場合は「午前中の1~4限をオンライン指導、正午頃に登校して給食、5~6限は学校でオンライン学習の復習を中心とした学習」というモデルにした。

しかし大阪市のネットワークの回線容量などさまざまな要因が重なり、全市一斉ではオンライン授業ができない状況が生じた。回線容量の関係でオンライン授業の順番は各地域ごとに順番に割り当てられ、オンライン授業のない日はプリント学習などの状況も生まれた。学校によっては、オンライン授業はほとんどできず、プリント学習に費やした状態も生まれたという。

オンライン授業は通常の授業時数には組み入れられず、学習時間不足として不足分の授業を後日実施しなければいけないことも判明した。大阪市では当初夏休みの短縮なども検討したと報じられたが、その後平日の授業時数を増やす・土曜授業の実施などで回復させる方針を検討しているともされている。

大阪市での行き詰まりとさらなる課題


通常授業に戻すことそれ自体は、大阪市でのオンライン授業の行き詰まりを示したものであり、それはそれとして必要な措置ではあろう。

その一方で、オンライン授業の導入だけでなく中止方針についても、教育委員会を飛び越えて首長が発表したことは、気がかりな点ではある。現場の状況を無視した首長の思いつきによって現場が混乱してきたというのは、大阪市では現任の松井市長だけでなく、橋下・吉村の前任の時代から維新市政約10年弱にわたって続いてきたという経過がある。今回もまたおかしなトップダウンで現場を混乱させたということになり、是正と改善策が強く求められる。

またオンライン授業中止ならゴールデンウィーク明けの早い時期に決断できたはずが、この時期になったのはなぜかという点も気がかりではある。

通常授業再開の理由については、公式には「子どもの感染者数が減り、重症化する例も報告されなかった」などとしている。その一方で、5月27日に文部科学省が通常通り実施しようとしている全国学力テストや、6月上旬までの任意の日程でおこなうことにしている大阪府の小学生統一学力テスト「すくすくウォッチ」実施との兼ね合いがあるのはないかという見方もされているという。

学力テストに追い立てられるというのもおかしな話ではあるし、一部オンライン授業実施によって子どもの学びの機会にも影響が出たという点についても検証の必要がある。