横浜市教育委員会は、中学校社会科歴史的分野の教科書について、2021年夏に「再採択」を実施することを決めた。

小中学校の教科書については、学習指導要領改訂をはさむなどの事情がない限りは通常は4年に1度となる。中学校教科書採択は、前回は2020年夏に実施され、2021年度より新しい教科書が使用されている。それ以外の年度については、通常は前年度採択のものの継続使用を追認することにとどまり、資料を調査するなどの大幅な選定作業はおこなわないのが通例となっている。

その一方で2021年3月に発表された教科書検定で、中学校社会科歴史的分野では、前回不合格になった自由社教科書が再検定に合格した。これを受けて文部科学省が各地の教育委員会に対して、採択の再実施をおこなうことを認めた。

横浜市教育委員会ではこれを受け、2021年5月13日の教育委員会定例会で採択の再実施を決定した。教育委員からは、再採択の必要性を問う声や学校現場への負担を疑問視する声が出たものの、最終的には再採択実施方針が承認された。

横浜市では2009年採択で、当時18行政区各区を採択区域としていたうちの一部の区で自由社教科書が採択され、その後全市1区採択制度に移行した2011年・15年と育鵬社教科書が採択されてきた。2020年採択でも育鵬社教科書の是非が大きな注目点となったが、最終的には育鵬社教科書をやめて帝国書院が採択された。

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自由社・育鵬社ともに歴史修正主義的傾向や極右的な傾向が強く、またイデオロギー押しつけ的な内容となっている。またイデオロギー以前の論点として、教科書の記述は学説などで示されている一般的な理解とも異なる内容であり、授業や高校受験、また高校以降の学びにも悪影響を及ぼすとも指摘されていた。

採択の動向については、注視していく必要があるだろう。
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