緊急事態宣言のもとで2021年4月下旬から5月中旬まで大阪市立小中学校で実施された「オンライン授業」の状況について、大阪市教育委員会が市立小中学校に対して実施した調査によると、約4割が「接続できたが不安定」として、通信環境に課題があったと訴えていることがわかった。

この問題では、学校現場や保護者からの声として、報道やSNSなどでは「オンライン授業をする日が地域ごとに交代で割り当てられていて、できない日も多かった」「接続テストでトラブルが多発した」などの問題が指摘されていた。市教委の調査でもそのような課題が浮かび上がった形となった。

オンライン授業をする条件が十分とはいえないまま強行したことで、不要な混乱を生んだ形にもなってしまった。しかも発端は、松井一郎市長が記者会見でいきなりぶち上げたという政治主導のもので、教育委員会もそのまま引きずられたような形になっている。政治の学校現場への介入という意味でも課題を残している。

オンライン授業では通常の授業時数にカウントされないことも明らかになった。大阪市教委では、オンライン授業期間中の最大約50授業時間分の授業について、週あたりの授業時数を増やすこと(7時限授業など)や土曜授業などで実施するよう各学校に求めているという。夏休みの短縮などは見送られたとはいえども、生徒や教職員に負担がかかる状態になる。

学校現場に大きなしわ寄せがくる形になった今回の「オンライン授業」措置。教訓を徹底的に検証し、このようないい加減なことが起きないようにしていく必要がある。
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