熊本市立中学校在学中にいじめを受け2014年に自殺未遂に追い込まれたなどとして、元男子生徒が熊本市を相手取り慰謝料500万円を求めた訴訟で、熊本市議会は2021年5月31日、元生徒側への損害賠償金60万円を含む諸経費を計上した和解関連議案を提出した。

いじめに適切な対処ができず、解決に向けた諸方策をとれなかったことを謝罪するなどとしている。

生徒側とは2021年5月17日の和解協議で、和解の方向で大筋で合意している。関連議案可決を経て、2021年7月14日におこなわれる次回の和解協議以降に正式に和解が成立する見通しとなっている。

生徒は中学校1年だった2012年以降、クラスや所属する運動部でいじめを受け続け、3年だった2014年7月に自殺を図った。

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学校側は2014年10月、生徒が受けた行為の一部をいじめと認定したものの、加害者に悪意があった可能性は低い・継続性もないなどと判断していた。

生徒はその後提訴し、加害者側とは2019年に和解が成立していた。

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市との訴訟では、生徒側は賠償額については不満としながらも、市が謝罪するなどの条件が盛り込まれたことなどで和解に踏み切ったとされる。

いじめの全体像とすれば、必ずしも十分とはいえない対応なのかもしれない。それでも、市が謝罪することが盛り込まれたことは一定の節目だとはいえるだろう。当該生徒側への対応と同時に、同様の事件を未然に防ぐ、万が一起きてしまっても早期に解決できるような体制を整えることが、重要になってくる。
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