熊本市教育委員会が市立学校の保護者に対して実施した調査によると、俗に「体罰」ともいわれるような教員による児童生徒への暴力行為や暴言などの被害に遭っても、7割が学校側に届けていないことがわかった。

調査は2021年4~5月、熊本市教委から保護者に対して、メールを通じでおこない、約2万人から回答を得た。

382人が「子どもが被害に遭った」と回答したが、学校側に届け出たのは3割弱にとどまっていた。また「ほかの家庭の子どもが被害に遭ったのを見た・聞いた」とする回答も343人あったが、届け出たのは約1割にとどまっていた。

届け出なかった理由として、「相談しても無駄だと思った」「訴えた後のことが心配だった」などがあげられている。

いわゆる「体罰」事件については、被害が認知されて対処されたのは氷山の一角に過ぎず、大半が泣き寝入りを余儀なくされていると推測されるということになる。

また明らかになった事件でも、加害者本人やその取り巻きが逆恨みして被害者やその支援者などに報復行為をする、学校側がもみ消しを図る、心ない保護者や地域住民が「騒いだ被害者側が悪い」扱いで中傷を加えるなどのケースも多数報告されている。そういう二次被害は「集団いじめ・ハラスメント行為」ともいうべきものともなっている。

それらのことを背景に被害を訴え出にくい雰囲気が作られているとしたら、抜本的な改善が必要だということになる。

「体罰」事案を起こさせないようにすることや、万が一起きてしまっても被害を訴える態勢を整えること、加害者およびその周囲からの逆恨み報復や学校側のもみ消しを防ぐことなど、必要な体制を整備していく必要がある。
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