東京都教育委員会は2021年8月18日夜、東京パラリンピック「学校連携観戦」についての教育委員への説明・協議を、オンラインで実施した。

新型コロナウイルスの問題は以前以上に深刻化している状態となっている。また熱中症対策の問題も加わり、学校現場や市民からは「学校連携観戦」中止を求める声が上がっている。

東京都教育委員会事務局は、都内62自治体中8自治体約13万人、および都立学校約250校中23校約2000人が、「学校連携観戦」に参加する意向を持っているというまとめを示した。事務局側は、「一律に機会を奪うのではなく、可能なら実施を支援する」「開幕が迫っているから再検討は困難」という見解を繰り返した。

一方で教育委員5人中出席した4人からは、「テレビ観戦でも教育上の効果はある」「感染予防が心配だ」「感染対策をしても崩れる事例がたくさんある」などとして、実施に慎重な姿勢を示した。再考を促す発言もあったという。当日欠席した教育委員は、「学校連携観戦」に賛同する文書を提出した。

観戦による教育的効果という視点は、一般的な意味では否定するものではない。

しかし、新型コロナウイルス問題が深刻化し、感染対策を取っても感染が発生している状態があちこちで続いている。2021年の夏には高校野球大会やインターハイなどが実施されているが、参加した生徒の感染事例も相次ぎ、深刻な状態になっている。「学校連携観戦」でも似たようなことにもつながりかねない。「学校連携観戦」だけは大丈夫だと強弁するような「根性論」で押し通すのは危険と言わざるをえない。

オリンピックでも「学校連携観戦」がほとんどのところで中止となった。その時期と比較しても一段と深刻な状況になっているにもかかわらず、強行するのは疑問である。

また8月下旬という季節柄、熱中症の不安も生じることになる。このことも極めて危険なものとなっている。

(参考)
◎東京パラの学校連携観戦、都教委に出席した委員全員が「やるべきでない」 事務局は実施方針 8自治体が参加の意向 (東京新聞 2021/8/18)
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