大阪市立小学校の校長が、2020年5月の緊急事態宣言中に大阪市立学校でおこなわれたオンライン授業のあり方や学力保障のあり方などに関する「提言書」を大阪市長宛に送付した問題で、大阪市教育委員会は2021年8月20日、当該校長を同日付で文書訓告処分にしたことを発表した。

処分理由は、以下のようになっている。
 市長及び教育長にあてた提言において、他校の状況等を斟酌することなく、独自の意見に基づき、本市の学校現場全体でお粗末な状況が露呈し、混乱を極め、子どもの安心・安全が保障されない状況を作り出していると断じ、子どもの安心・安全に関する教育委員会の対応に懸念を生じさせた。
以上のような記述を含む提言を、知人らに提供したことなどにより拡散させた。

処分理由は無理やりこじつけたもの、言いがかりに近いものではないかとも感じる。

この問題をめぐっては、当該校長が「提言」を送付したことを公表した数日後、大阪市会教育こども委員会で維新市議が問題視する質疑をおこない、大阪市教委事務局は処分を含めて検討していると答弁した。

また松井一郎大阪市長は提言とその報道を受け、「意見を出すことはかまわない」とした一方で、提言内容を攻撃するような見解を出していた。

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一方で市会の野党会派や市民団体・教職員・弁護士などが大阪市および市教委のあり方を批判している。市政野党の市議は議会質疑で大阪市教委の対応を厳しく批判し、また市民団体などからは当該校長を処分しないよう求める要請をおこなう動きが広がった。

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当該校長が勤務する小学校では、児童・保護者や地域住民が自然発生的に、校長を応援するメッセージを送付したり、校門に貼り付けるなどの動きも出たという。また複数の校長・教職員が当該校長に同調するなどの動きも生まれた。

当該校長の意見書の内容は、学校現場の実情を踏まえた上で、ボトムアップ型の教育行政を求めるものとなっている。

https://www.asahi.com/articles/ASP5N6KWMP5NPTIL00R.html

おかしなことを書いているわけではなく、内容は教育現場の実態を踏まえた良心的なものと受け取れる内容となっている。特定の政治勢力を支持する・ないしは反対するような政治的アピールに該当する内容も見当たらない。個人の独自の意見ないしは極端な意見とは受け取れず、大枠では多くの人が納得できるような内容ともなっている。

こういうものでも、大阪市・維新市政のトップダウン的な施策に「合わない」と決めつけられてやり玉に挙げられるのは、極めて異常な対応だと言わざるをえない。

オンライン授業の問題については、大阪市の準備体制の問題や、児童の実情などの問題も重なり、ほとんどの学校でまともにできなかったと指摘されている。また学力保障や学びの保障の問題についても、大阪市では「テストの点数一辺倒」の扱いをするなどして学校現場へのしわ寄せ・負担が生まれている。そういう現実の問題点について、改善を提言し意見するのは、学校現場としては自然な対応なのではないか。

懲戒処分こそ見送られたものの、文書訓告処分にされたこともおかしい。文書訓告も取り消すべきではないのか。