新型コロナウイルスの感染状況の深刻化により、児童生徒へも感染が拡大し、学校の臨時休業の問題も生じている。大阪府では保健所の態勢が逼迫し、濃厚接触者などを確定する疫学調査に時間がかかり、学校での全校臨時休業期間が延びている問題が生じている。

従来なら3日間程度で学校再開となっていたが、2021年8月および9月上旬には学校再開まで1週間程度かかる事例も出ている。

このことを踏まえ、大阪府は府立学校で、保健所の疫学調査の補助業務として、生徒に感染者が出た場合は在籍校が感染者に聴き取りをおこない濃厚接触者の候補者リストなどを作る運用を始めた。

また感染者や濃厚接触者の状況によっては、学校での一斉臨時休業・休校ではなく、学級閉鎖や学年閉鎖などで対応する方針もとっている。

大阪市立学校でも、大阪府立学校と同様の措置をとる。

大阪府内では保健所の業務体制が限界に達していて、一般の感染者も結果的に放置される状態になっているなどの状況が起きているもと、疫学調査についても手が回らずに学校の臨時休業期間が延びるなどの状況が生まれた。また学校にとっては、臨時休業期間が延びることで、その分授業などができなくなることになって学びの状況に影響が出かねないなどの問題もある。

大阪府や大阪市は、これまで保健所や公衆衛生業務の体制を縮小・統廃合したり、保健所にかかる人員配置が十分ではないなど、公衆衛生行政としての重大な問題がある。そのことを専門外の学校現場に押しつけるような形になるのはふさわしくない。当面の臨時的な措置としてはともかく、そういう臨時措置を固定化してはならない。保健所の体制増強などの根本的対策によってできるだけ早く解決する必要がある。
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