奈良市立小学校4年だった女子児童が2017年、いじめを受けた後に不登校になった問題に関連して、被害児童側が「学校の不適切な対応があった。その際に担任教諭からの不適切発言もあった」として奈良市を相手取り訴えていた訴訟で、奈良地裁は2021年10月6日、原告側の訴えを一部認め、教諭の不適切発言がありその発言は不法行為にあたるとして、奈良市に約11万円の損害賠償を命じる判決を出した。一方で学校側のいじめへの対応については、安全配慮義務違反があったとは認めなかった。

経過


児童は小学校4年だった2017年にいじめを受けた。担任教諭がいじめを認知して指導したという。

しかしその指導方法は、被害児童と加害児童を呼び出し、仲直りの指切りを促すというものだった。その際に教諭は児童に対して「うそをついたら先生とキスをする」と発言したという。

被害児童はその後不登校になった。

訴訟では、奈良市の側は「いじめでの対応に、安全配慮義務違反はなかった」とした。「キス」発言については、冗談で言ったものでありすぐに取り消し修正しているなどとして、言った事実は認めたものの不法性はないと主張した。

判決では、「キス」発言について、「相当性を欠く」と指摘し、セクハラにあたり不法行為にあたると判断した。しかしいじめへの対応については、学校側の対応に不備はなかったと結論づけた。

私見


「キス」発言が問題外なのは言うまでもないだろう。冗談であり、すぐに取り消し修正したという主張通りだとしても、そのようなことをしたのは理解に苦しむ。

それ以前に、「仲直りの場」を設定して指切りを強要するという対応は、いじめへの対応・指導としても極めてまずいものとなっている。これではいじめの解決につながるどころか、被害者に泣き寝入りを強要したり、加害者に自分の行為を理解させる機会のないまま逆恨みなどを呼び込むような形になったりもしかねず、逆にいじめを悪化させかねないものである。