北國新聞2021年11月18日付(ウェブ版)に『中学の放課後に「助っ人」塾講師 学力テスト、国数とも県平均下回り…加賀市教委、多忙の教員に代わり』とする記事が掲載されている。

記事によると、石川県加賀市教育委員会は2022年2月より、市内中学校で希望者向けの無料補習をおこなう「放課後塾」を開講するとしている。全国学力テストの成績が全国平均を下回ったとして、英語・数学・国語の3教科について、希望者に学習指導をおこなうとした。

指導は進学塾講師が担当し、市内の進学塾が講師派遣の受け皿となる団体を設置して市教委がその団体に業務委託する形になる。予算は300万円を見込み、市の補正予算に盛り込むとしている。

記事では塾講師への委託理由について、以下のように触れられている。

  • 部活指導などで多忙の教員に代わり、民間の塾に協力をあおぐ。

  • 民間塾の指導ノウハウを活用するほか、教員の多忙化による負担増も避ける。


本末転倒という印象をもつ。

教員の多忙化による負担増を避けるというのは、その発想自体は決して間違ってはいない。しかしそのための具体的な方策が「これ」なのかと思うと、それはちょっと待ってほしいと感じる。

多忙化を生み出している状況を解消していくのが教育行政の役割である。にもかかわらず、多忙化の状況にはメスを入れず、多忙化の大きな要因のひとつともなっている部活指導を当然視する。そして本来の教師の業務である学習指導は学習塾に外部委託などというのは、強い違和感を感じる。外部委託の対象事業が違う、ないしは教員多忙化を解決する方策としては違うと言わざるをえない。
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