福岡県北九州市の私立高校2年だった女子生徒が2017年4月、同級生の名前を挙げて「私に何かあったらあんたたちのせい」などとしたLINEメッセージを残して自殺した事件があった。

この事件では福岡県の第三者委員会が、「仲間はずれにされる」「LINEで暴言を受ける」など生徒へのいじめがあったことを認めたものの、いじめと自殺との因果関係については認めない報告書を出していた。

学校災害共済の業務を担当する独立行政法人日本スポーツ振興センターはこれを受けて、いじめ自殺も含めて学校災害に起因する生徒死亡の際に支給されることになっている死亡見舞金を支給しない決定を出していた。

この事件で「不支給は不当」として両親が訴えていた民事訴訟の判決が、2021年11月25日に福岡地裁であった。判決ではセンター側に対し、両親側の主張通り、見舞金約2800万円を両親に支給するよう命じた。

判決では福岡県の報告書からさらに踏み込む形で、「仲間はずれにされる」などのいじめを認めた上で、疎外感や孤独感を強く感じさせ、絶望感を募らせ自殺を図った」などと指摘していじめと自殺との因果関係を認定したという。

第三者委員会でははっきりと認められなかったいじめと自殺との因果関係が明確に認められたのは、大きな成果となっている。

センター側はこれ以上争わないことを願う。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集