政府は2021年12月15日までに、子ども政策を一元的に担う政府の新組織について、名称を従来検討されてきた「こども庁」から「こども家庭庁」に変更する方向で検討に入った。

変更の背景


児童に関する政策を担当する国の省庁が文部科学省、厚生労働省、内閣府などに分かれていることから、一元的に政策を検討立案できる組織の必要性が検討されてきた。菅義偉前内閣のもとで新組織の検討が具体化していた。

新省庁では内閣府の認定こども園関連の内容や、厚生労働省の保育関連の内容などが移管されるとしている。学校教育については引き続き文部科学省が担うが、幼稚園・保育所・認定こども園に関する内容などは文科省と新省庁の連携を強めて実施するなどとしている。

新省庁の名称は、政府与党内では当初「こども家庭庁」の案が検討されていた。しかし虐待当事者などの「家庭という言葉で傷つく子どもたちもいる」とする指摘を踏まえ、「家庭」の文字を省いて「こども庁」の方向で調整することにした。

政府は2021年12月15日、与党向けに新省庁素案の説明会をおこない、新省庁の名称には「家庭」の文字を入れて「こども家庭庁」にする方向とした。この方針は与党側から了承された。

報道では「伝統的家族観を重視する自民党内保守派に配慮する」などと指摘されている。一方で自民党内の一部からは、「家庭」の文字を入れることに反対する見解も出されている。

公明党は総選挙政策で「こども家庭庁」の表現を使用し、また立憲民主党も「こども家庭省」を提唱していたという背景も指摘された。

「家庭」の2文字の有無は重大


「家庭」という何の変哲もない2文字であるが、子ども政策という文脈では、この文字を入れるかどうかによって大きな違いが生まれる。

子ども中心の子ども政策という視点を貫くのか、それとも「家庭」を絡めることで「伝統的家族観」の押しつけにもつながってしまいかねない状態になるのかという、極めてセンシティブな問題が出てくる。

子どもを個として尊重するのか、家庭という枠内にはめ込むのかということにもつながってくる。また、虐待や事故などで家庭を失った子どもや、子どものいない家庭などにとっては、「子どものいる家庭」を前提とした施策では、そのモデルから外れることで傷つけることにもつながりかねない。

「家庭」の文字を入れることになったのは、危惧を感じる。