国立大学協会は2022年1月28日の総会で、2025年度よりすべての国立大学受験生に対して、教科「情報」を大学入学共通テストの試験で原則として課す方針を決めた。

出題範囲は、2022年度高等学校第1学年より学年進行で実施される高校新学習指導要領の必修科目「情報Ⅰ」の範囲とする。

2004年度センター試験以降「5教科7科目」形(地歴・公民はあわせて1教科としてカウント。国語・外国語および数学2科目、加えて文系は地歴公民2科目・理科1科目、理系は地歴公民1科目・理科2科目)の試験が標準となっていた。そこに情報が加わることになり「6教科8科目」形の入試となる。

しかしその一方で、2003年度に普通教科の必履修科目として設置された教科「情報」は、設定から20年近く経っても、他教科と比較して指導体制が脆弱な問題が解消されていない。

初期は他教科専門の教員が簡易な講習などで追加で教員免許を取って指導にあたらせる事例も多く生じていた。その後も継続的に専任教員の採用をしていない事例もあり、授業コマ数調整などで他教科専門の教員が授業を担当する事例も多いと聞く。

教科としての意義はともかく、指導体制を整えないまま放置されてきた状況に、大学入試の必須科目にするとなれば、生徒の側にとっても授業を担当する側にとっても大きな混乱を招くことは必至となっている。

このような状況の下で、原則として試験科目に課すとなると、まずいことになってしまうのではないか。導入は時期尚早であり、方針を撤回すべき、少なくとも当面の間導入を凍結すべきではないか。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集