愛知県の私立豊川高校に入学した男子生徒が「所属していた野球部で、部内いじめを受けて退学を余儀なくされた」「学校はいじめに対応しなかったことで精神的苦痛を受けた」として、同校を運営する学校法人を相手取り約210万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こしていたことが、2022年2月7日までに報道された。

提訴は2021年12月におこなわれたという。

経過


報道によると、事件の経過は以下のようになっているという。

同校は春の選抜高校野球大会に出場したことがあるという。生徒は2021年度、部活動奨学生として入学し、寮生活を送っていた。

しかし2021年5月、部内での指導をきっかけにコーチから無視されるようになり、それに伴って同級生や上級生の部員からもいじめを受けるようになった。

携帯電話など持ち物を隠される、寮の浴場でシャワーで熱湯をかけられる・着替えの服を湯船に漬けられて濡らされる、などの行為があったと訴えている。

生徒は学校側にいじめ被害を訴えたが、「部員間のいたずら・じゃれ合いであり、いじめではない」とする対応に終始した。生徒は2021年7月に退学を余儀なくされ、別の学校に転校した。

転入先の学校でも野球部への入部を希望したが、新しい学校からは「高野連で選手引き抜き防止ルールがあるために、入部は原則として認められない。しかし、元の学校でのいじめが認定されるなどして愛知県高野連が対応すれば入部は可能」と指摘された。このことを受けて、生徒側は元の学校や愛知県高野連に訴えたものの、学校はいじめを認めない態度に終始し、また愛知県高野連も「学校からの報告がない限り、高野連としては対応できない」としたとされる。

そのため生徒は新しい学校で野球部に入部できないままとなった。生徒は「高校野球で甲子園を目指す夢を奪われた。いじめた相手が野球に熱中する一方、僕は野球ができないので悔しい」などと話しているという。生徒は、愛知県高野連に対しても「調査を怠った」として10万円の損害賠償を求めている。

いじめの内容も悪質であり、いじめ被害を訴えても「いたずら・じゃれ合い」扱いして認めないという学校側の態度もおかしいと言える。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集