小学校の校長を対象にした調査によると、「国や自治体による学力調査」について、「効果がある」と考えている校長と「効果がない」と考えている校長の割合が拮抗しているという。

日本教育新聞2022年2月15日『半数近くの小学校長 学力調査は「効果なし」』が報じている。

https://www.kyoiku-press.com/post-240499/

2021年10月~11月にかけて、総合初等教育研究所の催しに参加した小学校の校長を対象に、インターネットと郵送で実施した調査だということ。75通の回答を得た。

「国や自治体による学力調査」についての質問では、「大変効果がある」は9%、「効果がある」は35%、「あまり効果がない」は29%、「まったく効果がない」は15%、「分からない」は12%という結果になったことが照会されている。「大変効果がある」「効果がある」はあわせて44%、「あまり効果がない」「全く効果がない」はあわせて44%となった。

学力調査については、全体的な傾向を把握するための抽出調査というやり方ならば否定はしない。

しかし現行の方式では、悉皆調査によって地域別・学校別の平均点競争・順位競争に矮小化される流れが生じている。このことで地域間・学校間の序列化などを生み出し、学力概念も「テストの点数競争」という極めて一面的な扱いにされている。そしてテストの点数・平均点を上げる対策のみが強調され、地域によっては通常の授業を後回しで、過去問や類題の問題演習が中心となるような状況へと突き進んでいる。

また学校選択制が導入されている地域では、学力調査での平均点も学校選択制に影響を与えるような形にもなっている。

本来なら点数や平均点という数値そのものよりも、「個別の児童・生徒がどこにつまづいているのかを把握して検討する」「指導する側も、全体としての傾向もみながら、弱い単元の指導法を工夫する」などのフィードバックを重視していく必要があるが、そういう視点はあまり顧みられないことになる。

少なくとも現行の学力テストの方式では、効果が疑問視される、それどころか余計な問題が生じるということになってしまう。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集