2022年4月1日、大阪の教育に大きな影響が出る改編がおこなわれた。

一つ目は、大阪市立大学と大阪府立大学を統合して大阪公立大学が発足したこと。大阪公立大学の発足については、校門の看板の除幕式などがニュースになっていた。

もう一つは、大阪市立の高等学校23校全校が大阪府に移管され、大阪府立となったこと。

しかしいずれも、教育や学問研究の必要性などから関係者の要望がまとまって統合に至ったというわけではない。

2010年代、市政与党の大阪維新の会が掲げた大阪市の解体策動、いわゆる「大阪都構想」により、「同種のものを大阪府と大阪市がそれぞれ持っているのは二重行政」などという乱暴な理屈で、各種施設の府市統合や廃止などをおこなおうとしたものである。やり玉に挙げられた施設は病院・公衆衛生・港湾など多くの分野に及んだが、大学や高校についても「二重行政」のやり玉に挙げられた。

いずれも政治主導での統合が進められた形になった。

大阪市立大学にしても市立の高校にしても、大阪市の都市としての歴史を反映して発展してきたものである。大阪市立大学の前身となった旧制大阪商科大学は、国立とは異なる方向での大阪市の都市としての社会状況に立地した学問を志向するという方向性も建学の理念として持っていた。また市立の高校についても、府立高校とは異なる方向性での特色化を図ってきた経緯がある。

それらを無理やり統合しても、大阪市の都市としての歴史を否定し、また大阪府の側も含めて長年積み重ねた歴史を潰してしまうことにもなりかねない。

統合という形にはなったが、この問題については引き続き考えていくべき課題となっている。
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