「週刊文春」ウェブ版2022年9月29日配信に『「死んだほうがいいんかねぇ」14歳で自死を選んだ中2生徒、その原因は教師による“不適切な指導”だったのか』が掲載されている。

https://bunshun.jp/articles/-/57779

広島県東広島市立中学校2年だった男子生徒が2012年に自殺し、背後には教師の不適切な指導があったと指摘されている事案である。この事案については、生徒の両親が訴訟を起こして係争中だということ。

http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-24361/

この事案についての詳細が紹介されている。

自殺直前には、生徒が「美術の授業で写生の教材として使ったカボチャを廊下に置いたこと」で教諭らが数人がかりで指導をおこなったこと、その際に威圧的な指導があったことなどが指摘されていた。

記事では、ほかにも不適切な指導と思われるものが紹介されている。

生徒が1年だった2011年11月には、生徒が「最近、カメムシが増えて洗濯物につく」「(カメムシを)ぶっ殺す」などとアンケートに記載した。そのことで学校側は、「カメムシ」をある特定教員を指すあだ名・隠語とみなして、教員への暴言として指導室で一方的に「特別指導」をおこなった。生徒は約7時間にわたって別室に閉じ込められ、さらに反省文10枚を書くように迫ったとされる。

また2012年10月には、生徒が掃除中に数学担当の女性教師から理不尽な指導を受けたことで怒り、手に持っていたほうきを折ってしまった。数学教師は生徒の担任ではなかったが、普段から大声で怒鳴るなどの威圧的な指導をおこない、また生徒の自殺直前に起きた「カボチャ事件」の指導の当事者だという。このときは「特別指導」の対象から外したものの、反省文を書かせるなどした。

さらに自殺当日の2012年10月29日に起きた「カボチャ事件」では、最初に見つけたのは「ほうき事件」のきっかけを作った数学担当の女性教師であり、そこから生徒の所属していた野球部顧問にも連絡が行き、数人がかりで机を蹴るなどの威圧的な「指導」がおこなわれたとされる。

生徒はこの日帰宅せず、自宅近くの公園で首を吊っている状態で発見された。生徒が指導を受けていたことを把握した家族は「指導死」を疑い、通夜や葬儀では学校側の参列を断っていた。しかし教育長がこっそりと入ってきたとされる。

生徒の両親は会場で教育長を見かけていたものの「誰か同級生の父親かな」と思っていたというが、受付の記帳内容から教育長だとわかったという。教育長は、応対した親族に対し、「調査はもう終わった。裁判でもなんでもどうぞ」などと話したとされる。

遺族側は2015年に提訴した。一方で事件の関連文書開示を求めるなどがしたが拒否されたなどとして、証拠保全と開示などを求める別の訴訟が並行しておこなわれた経過があり、裁判が長引いているという。

雑感


きっかけとなった指導のあり方にも、疑問を感じざるを得ない。威圧的な指導の繰り返しで生徒を追い詰め、最悪の状況を招いたとも受け取れる。また事案発生後の学校側・教育委員会の対応にも疑問を感じる。
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