朝日新聞が2022年12月17日付で、『桜宮事件から10年、後を絶たない体罰 息子失った両親が今願うこと』という記事を出している。

https://www.asahi.com/articles/ASQDG3HFMQD8UTIL00J.html

大阪市立桜宮高校(現在は大阪府に移管し、大阪府立桜宮高校)体育科に在籍しバスケットボール部に所属していた男子生徒が2012年12月23日、部活動顧問教諭からの暴力行為をともなう指導を苦にして自殺した。この事件は年明けの2013年1月に事実関係が公表され、大きな社会問題となった。

この事件について、事件から10年を前に、朝日新聞が遺族に取材している。、

記事によると、両親は学校は子どもたちの成長の場であることをわかった人に指導してほしい(母親)、裁判を通じて、部活が顧問の地位を守り、名誉を得るための『特殊な場所』になっていると感じた(父親)などと話しているという。

桜宮高校事件の経過


桜宮高校事件では、顧問教諭は懲戒免職となり、刑事事件では有罪判決となった。また民事訴訟でも、教諭の暴力行為と生徒の自殺との因果関係が認められ、大阪市の責任が認められた形になった。

http://kyouiku.starfree.jp/d/post-7085/

一方で当時の大阪市長橋下徹が事件を口実に、学校現場への介入を強めようとする策動をとったり、2013年に予定されていた同校体育系学科(体育科・スポーツ健康科学科)の入試を取りやめるよう教育委員会に要請するなどしたなどの問題も起きた。

橋下のパフォーマンスの一方で、大阪市は、遺族が起こした民事訴訟では、教諭の暴力行為と自殺との因果関係を認めずに争う方針を示していた。

暴力をともなう指導は許されない


生徒の自殺から10年となるが、遺族の苦しみや悲しみは消えていないことがうかがわれる。

その一方で、部活動での暴力をともなう指導は、桜宮高校事件から10年の間にも多く発生しているという実態がある。

愛知県立豊川工業高校陸上部事件(2013年)、岩手県立不来方高校バレーボール部員自殺事件(2018年)、博多高校(福岡県)剣道部員自殺事件(2020年)、兵庫県宝塚市立中学校柔道部暴行事件(2020年)、沖縄県立高校運動部員自殺事件(2021年)、秀岳館高校(熊本県)サッカー部暴行事件(2022年)、など、部活動指導者の暴力が問題になった事例は、報道されただけでもいくつもある。

暴力をともなう指導は許されないという世論が強まっているものの、指導者の側の対応が追いついていないようにも思われる。

指導者の周辺についても、暴力をともなう指導等が発覚した際、学校関係者の対応が加害者に十分な対応をとれないような事例も目立つ。また保護者や競技関係者の一部にも加害行為を当然視するような言動をとって加害者をかばい被害者を中傷するような者もいる。暴力行為を起こして当該校を辞任しても、部活指導の実績だとして別の学校や競技関係の民間教室などに採用され、新しい場所で再び暴力事件を起こす事例も珍しくない。このようなことは断ち切らなければならない。

暴力行為は生徒の人権にもかかわるものであり、決して許してはならない。暴力を容認するような指導を根絶していくためにも、必要な手立てを取っていく必要がある。
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