滋賀県野洲市立の同じ小学校で「教員による、担任クラスの児童へのいじめ」事案が1年ほどの間に2件連続して起きた問題で、野洲市教育委員会は2023年1月23日、事案を分析した調査報告書を公表した。

同校の管理職が「教員が児童をいじめるわけがない」という先入観にとらわれていたことで、事件を防げなかったと指摘している。

事件の経過


当該校では2021年11月、4年の学級担任だった男性臨時講師(20代)が、担任クラスの男子児童に対して、その児童をアニメのキャラクターに例えるなどしてからかったことで、同級生からのいじめに発展した事案があった。

事態を把握した学校側は、2022年2月に当該講師を担任から交代させた。当該講師は2022年3月に任用期限が切れ、その後は滋賀県内の別の自治体で勤務しているという。

さらに2022年5月以降、2年の学級担任だった別の男性教諭(50代)が、担任クラスの特定の児童を名指しして「(発言を)スルーしよう」(無視しよう)などとほかの児童に呼びかけるなどのいじめ行為をおこなった。この事案も、担任教諭の言動によって、同級生からのいじめに発展した。また教諭は、当該児童を発達障害だと一方的に決め付けて保護者側に対応するなどの行為もおこなった。

2件目の事案に関与した教諭については、滋賀県教育委員会が2022年12月、人権侵害にあたる不適切指導として、減給10分の1・1ヶ月の懲戒処分としている。

これらの事案について、当該校の管理職は「1件目の事案は特異な例と認識し、学校として対策を取る発想に至らなかった」と話していたという。また1件目の事案を受けて校内で研修がおこなわれ、2件目の事案に関与した教諭も出席していたが「他人事という認識だった」としているという。

「教師によるいじめ」は特異なものではない


「教員による、児童・生徒いじめ」と形容されてもおかしくないレベルの、不適切な指導・人権侵害は、決して特異なものではないと考えられる。

マスコミ報道を拾うだけでも、報道での扱いとしてはいわゆる「体罰」事件や「不適切指導」事案として扱われているものの、内容的には「教師による児童生徒いじめ」に該当すると思われるようなものも、数ヶ月に1回は報じられているように思える。報道されていないものも含めると、潜在的にそのようなものが発生していてもおかしくない。

もちろん、いじめ自体が起きてはいけないというのは、心情的には当然ではある。一方で、だからといって「起きるわけがない」とする対応では極めてまずいことにもなる。決して特異で例外的な事例ではなく、そのようなことは起こりうるものだという認識を持って、対応していく必要があるのではないか。
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