2021年にコロナ禍のもとでの大阪市の教育施策をめぐり、現職校長の立場で実名を明らかにして、大阪市長宛に「提言書」を提出したことで文書訓告処分を受けた大阪市立小学校元校長が2023年2月21日、処分は不当だとして大阪弁護士会に人権救済を申し立てた。
同日午後に大阪弁護士会に申立書を提出し、その直後に大阪市役所で記者会見した。
元校長は、大阪市立木川南小学校(淀川区)校長として在職していた2021年5月、オンライン学習を原則とした大阪市教育委員会の方針やそれに伴う整備が伴っていないことなどについて、「場当たり的な計画で進められ、学校現場は混乱を極めている」などと教育現場の実態を訴えた「提言書」を、松井一郎大阪市長宛に送付した。
https://www.asahi.com/articles/ASP5N6KWMP5NPTIL00R.html
提言書の内容については、松井一郎大阪市長は記者会見で、中傷・個人攻撃とも受け取れるような内容も交えながら、批判的な見解を述べた。また大阪市会の委員会では維新市議が否定的な質疑をおこなった。
大阪市教育委員会は2021年8月、元校長の知人を通じて「提言書」の内容がネット上に掲載されたことなどを問題視する形で、「市教委の対応に疑念を生じさせた」などとして、校長を文書訓告処分とした。
校長は2022年3月に定年退職したが、処分は不服だとして見直しを訴えている。
元校長は大阪弁護士会への人権救済申立書で、「処分を受けた校長として社会に公表されたままで、傷つけられた人格を回復するために取り消しを求める」、「独自の意見を述べたという理由で処分を受けるのであれば、私個人の問題ではなく、すべての人に関わる人権侵害」などと訴えているという。
「提言」は、学校現場の実態を踏まえてよりよい教育活動をおこないたいという願いからでされたと受け取れる内容の穏当なものであり、政治的その他の問題があるようなものではない。このことを処分の対象にしたという大阪市教育委員会の対応は、不当というべきものであろう。
また校長をはじめ教職員が教育現場の実態に対して声を上げることを処分対象とするのならば、教育委員会のトップダウン的な態勢が強まり、教育活動を萎縮させてひずみが出ることにもつながりかねない。学校の教育活動については、児童・生徒の実態から出発して、創意工夫を積み上げていくということが必要にもかかわらず、それが揺らぐことにもつながりかねない。
よりよい教育活動をおこないたいと願っていたことで、それが処分対象になるというのは、極めて重大である。当該元校長個人だけの話ではなく、教育活動全体に影響があるのではないかとも感じる。
人権救済申立によって、少しでも良い方に動くように願っている。
(参考)
同日午後に大阪弁護士会に申立書を提出し、その直後に大阪市役所で記者会見した。
問題の経過
元校長は、大阪市立木川南小学校(淀川区)校長として在職していた2021年5月、オンライン学習を原則とした大阪市教育委員会の方針やそれに伴う整備が伴っていないことなどについて、「場当たり的な計画で進められ、学校現場は混乱を極めている」などと教育現場の実態を訴えた「提言書」を、松井一郎大阪市長宛に送付した。
https://www.asahi.com/articles/ASP5N6KWMP5NPTIL00R.html
提言書の内容については、松井一郎大阪市長は記者会見で、中傷・個人攻撃とも受け取れるような内容も交えながら、批判的な見解を述べた。また大阪市会の委員会では維新市議が否定的な質疑をおこなった。
大阪市教育委員会は2021年8月、元校長の知人を通じて「提言書」の内容がネット上に掲載されたことなどを問題視する形で、「市教委の対応に疑念を生じさせた」などとして、校長を文書訓告処分とした。
校長は2022年3月に定年退職したが、処分は不服だとして見直しを訴えている。
元校長は大阪弁護士会への人権救済申立書で、「処分を受けた校長として社会に公表されたままで、傷つけられた人格を回復するために取り消しを求める」、「独自の意見を述べたという理由で処分を受けるのであれば、私個人の問題ではなく、すべての人に関わる人権侵害」などと訴えているという。
雑感
「提言」は、学校現場の実態を踏まえてよりよい教育活動をおこないたいという願いからでされたと受け取れる内容の穏当なものであり、政治的その他の問題があるようなものではない。このことを処分の対象にしたという大阪市教育委員会の対応は、不当というべきものであろう。
また校長をはじめ教職員が教育現場の実態に対して声を上げることを処分対象とするのならば、教育委員会のトップダウン的な態勢が強まり、教育活動を萎縮させてひずみが出ることにもつながりかねない。学校の教育活動については、児童・生徒の実態から出発して、創意工夫を積み上げていくということが必要にもかかわらず、それが揺らぐことにもつながりかねない。
よりよい教育活動をおこないたいと願っていたことで、それが処分対象になるというのは、極めて重大である。当該元校長個人だけの話ではなく、教育活動全体に影響があるのではないかとも感じる。
人権救済申立によって、少しでも良い方に動くように願っている。
(参考)
- 大阪市長に提言書で処分の元校長 弁護士会に人権救済申し立て(NHKニュース 2023/2/21)
- オンライン学習巡り大阪市長に直言、処分の元校長が人権救済求める(毎日新聞 2023/2/21)
- 「物言えば唇寒し」でよいのか…松井市長批判し訓告の元校長が申立書(朝日新聞 2023/2/21)