山本景・大阪府交野市長はこのほど、自身の重点公約であった「交野市立小中一貫校計画の見直し」を断念する意向を表明した。「市議会では賛成派議員が多く、議会の同意を得られない見通しになった」ことなどを理由に挙げているという。

経過


交野市では、前市長時代に「交野市の市立小学校2校と中学校1校を統合し、施設一体型小中一貫校に改編する」という構想を打ち出した。これには住民から疑念の声が上がり、統廃合の是非を問う住民投票の実施を求める住民運動も起こった。しかし住民投票実施を求める請願は否決された。




議会レベルでは、共産党と無所属市民派のほか、当時市議だった山本景氏も統廃合計画に疑問を示し、住民投票実施を求めていた。2022年9月の交野市長選挙では、山本景氏が出馬表明し、統廃合反対・住民投票実施を求める市民グループが中心となって支援した形になった。

山本氏は現職を破って初当選した。しかし当選後、山本氏は「市長室の机と椅子をオークションで売却し、私物を持ち込んで執務にあたる」などで注目されたものの、重点公約だった統廃合問題については、話が進んでいなかった。

「前市長時代に締結された校舎建設工事契約では、中止した場合に違約金を支払うことになるなどの事情がある」「議会に賛成派が多く、話が進まない」などとするのが、具体的な話が進展しない理由とされた。



これには、統廃合計画・小中一貫校計画賛成派の市議からも「市議だった山本氏は、違約金などの事情をわかっていたのではないか。無理だというのなら、選挙中からそのことをわかっていたのに無理なことを公約に掲げたことになってしまう」「市長になってから具体的なアクションを起こせるのに、起こしたこともない」「賛成派の議員が市議会の多数を占めているといっても、議会に責任転嫁しているのではないか」と疑問が呈された。

また統廃合反対運動に携わった市民からも、当初の話と違うと疑問が呈されている。

交野市長選挙では「小中一貫校計画の是非」も重要争点のひとつとなり、また候補者の重点公約ともなっていたもの。その重点公約をこのような形で変更したことは、重大な案件になってしまっている。学校の統廃合や整備については、児童・生徒の学びの場という意味ではもちろん、地域の街づくりなどにも大きな影響が出るものである。このような形になってしまったことには、極めて残念に思う。
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