埼玉県所沢市立中学校でいじめを受け、2年の途中から卒業までの約1年3ヶ月にわたって不登校状態になった男子生徒について、所沢市教育委員会がいじめ「重大事態」と認定しないままになっていたことがわかった。
卒業後の2023年4月に家族が教育委員会に問い合わせ、放置していたことが発覚した。所沢市教育委員会は調査委員会を設置して調査にあたることにしたとしている。
一連の経過は、2023年5月3日付の「毎日新聞」でスクープ記事として報じられ、その後ゴールデンウィーク明けの5月8日以降、NHKニュースや産経新聞などほかの媒体でも報じられている。
報道内容を総合すると、事案の流れは以下のようになっているようである。
生徒は2020年度、同中学校の2年だった。この頃から同級生から、暴力を受ける・持ち物を取られるなどのいじめを受けるようになった。2年の3学期、2021年2月頃から登校できない状況になり、2023年3月の卒業まで不登校状態が続いた。
学校や所沢市教育委員会はこの案件について、いじめが原因で年間30日以上欠席する不登校状態になったときにはいじめ防止対策推進法の「重大事態」に該当するとして速やかに事実関係を調査する組織を設けるなどとする規定があるにもかかわらず、「重大事態」としては扱ってこなかった。
学校側は、「生徒が不登校状態になってすぐ、速やかに市教委には報告した。しかし生徒が不登校状態になってから約20日後の2022年3月、加害生徒側も含めた当事者間での話し合いをおこなった結果、被害生徒保護者からの理解を得たと認識した。それ以降についてはいじめが原因の不登校とは認識していなかった」と主張したという。
2023年4月、茨城大学附属小学校で、いじめ被害を受けて不登校になった児童について、いじめ「重大事態」と認定せずに長期間不適切対応してきた問題が報道された。報道を見た父親が「自分の子どものケースと似ている」と気づき、「自分の子どもの案件は、重大事態に該当するのか」と所沢市教育委員会に問い合わせた。
市教委は父親からの連絡を受けて事態に気づき、市教委を通じて連絡を受けた学校側は数日後に調査を開始した。また市教委は第三者委員会を設置した。
いじめへの対応については、被害者の児童・生徒の人権にもかかわることであり、認知次第速やかな対応が必要になる。またいじめが原因で不登校になるほどの状況になると、いじめ防止対策推進法上の「重大事態」にもなる。
しかしそれらのことに対する対応が十分ではなく、結果的にいじめを放置するような対応になったということは、被害者当事者やその関係者を強く苦しめることになってしまう。
当該案件で速やかな是正対応・被害回復対応を取ることが求められる。また今後類似の事態を起こさないように、対応を検討していくことも必要になるだろう。
卒業後の2023年4月に家族が教育委員会に問い合わせ、放置していたことが発覚した。所沢市教育委員会は調査委員会を設置して調査にあたることにしたとしている。
一連の経過は、2023年5月3日付の「毎日新聞」でスクープ記事として報じられ、その後ゴールデンウィーク明けの5月8日以降、NHKニュースや産経新聞などほかの媒体でも報じられている。
事件の経過
報道内容を総合すると、事案の流れは以下のようになっているようである。
生徒は2020年度、同中学校の2年だった。この頃から同級生から、暴力を受ける・持ち物を取られるなどのいじめを受けるようになった。2年の3学期、2021年2月頃から登校できない状況になり、2023年3月の卒業まで不登校状態が続いた。
学校や所沢市教育委員会はこの案件について、いじめが原因で年間30日以上欠席する不登校状態になったときにはいじめ防止対策推進法の「重大事態」に該当するとして速やかに事実関係を調査する組織を設けるなどとする規定があるにもかかわらず、「重大事態」としては扱ってこなかった。
学校側は、「生徒が不登校状態になってすぐ、速やかに市教委には報告した。しかし生徒が不登校状態になってから約20日後の2022年3月、加害生徒側も含めた当事者間での話し合いをおこなった結果、被害生徒保護者からの理解を得たと認識した。それ以降についてはいじめが原因の不登校とは認識していなかった」と主張したという。
2023年4月、茨城大学附属小学校で、いじめ被害を受けて不登校になった児童について、いじめ「重大事態」と認定せずに長期間不適切対応してきた問題が報道された。報道を見た父親が「自分の子どものケースと似ている」と気づき、「自分の子どもの案件は、重大事態に該当するのか」と所沢市教育委員会に問い合わせた。
市教委は父親からの連絡を受けて事態に気づき、市教委を通じて連絡を受けた学校側は数日後に調査を開始した。また市教委は第三者委員会を設置した。
いじめへの対応が後手になっている
いじめへの対応については、被害者の児童・生徒の人権にもかかわることであり、認知次第速やかな対応が必要になる。またいじめが原因で不登校になるほどの状況になると、いじめ防止対策推進法上の「重大事態」にもなる。
しかしそれらのことに対する対応が十分ではなく、結果的にいじめを放置するような対応になったということは、被害者当事者やその関係者を強く苦しめることになってしまう。
当該案件で速やかな是正対応・被害回復対応を取ることが求められる。また今後類似の事態を起こさないように、対応を検討していくことも必要になるだろう。