奈良県橿原市立中学校1年だった女子生徒が2013年3月に自殺し、この生徒へのいじめがあったと指摘された問題で、遺族が加害者とされた元同級生と橿原市を相手取り約9700万円の損害賠償を求めていた訴訟の控訴審で、大阪高裁は2023年5月26日、一審奈良地裁(2021年3月)に引き続き、原告側の請求を棄却した。
2013年3月、女子生徒がマンションから飛び降り自殺した。
その後、この生徒に対して、同じ部活動だった同級生複数名から「LINEで仲間はずれにされた」「家庭環境などを中傷されていた」などのいじめがあったことが判明した。
この件では学校側が「いじめはない」とする態度に終始したものの、またその際に橿原市教育委員会や、同級生保護者などが、不審な対応を取ったとも指摘された。
この事件は当時、週刊誌や新聞報道などで、学校側や市教委の対応について批判的に報じられていた。
http://kyouiku.starfree.jp/d/post-9888/
その後設置された第三者委員会では、いじめの事実関係が認定されている。またいじめが自殺に影響を与えたとも指摘されていた。
遺族側は「生徒の自殺はいじめが原因」だとして2015年9月に提訴した。この訴訟では、当時部活動顧問だった教員が原告側証人として出廷し、「いじめはあった」と証言した上で、学校側の対応についても証言する、異例の展開ともなった。部活動顧問教員は、担任だった教諭について「(自殺した生徒のことを毛嫌いしていたことを背景に、この生徒が)痛い目に遭えばいい」かのような陰口をたたいていたとも証言した。
同級生4人のうち2人とは和解が成立した(和解内容は非公表)ものの、残る1人と橿原市については和解が成立しなかった。奈良地裁は2021年3月、原告側の請求を棄却する判決を出した。
一審判決では、第三者委員会が認定したいじめについても認定しなかったとされる。遺族側は控訴した。
二審では、遺族側が第三者委員会の委員長に、第三者委員会でいじめを認定した審議の経過に関する陳述書を依頼し、法廷での証人尋問を求めたものの、認められなかったとしている。
そして二審でも動揺の原告側請求の棄却となった。
事件の経過そのものも、またその後の学校側の対応も、複雑な経過をたどった事案ではある。その一方で、第三者委員会がいじめを認定し、また当時の学校関係者もいじめを証言したという状況のもとで、いじめを認定しない判決が出たというのは、裁判の経過としては疑問を感じるところがある。
このような判決が妥当だったのだろうか。
事件の経過
2013年3月、女子生徒がマンションから飛び降り自殺した。
その後、この生徒に対して、同じ部活動だった同級生複数名から「LINEで仲間はずれにされた」「家庭環境などを中傷されていた」などのいじめがあったことが判明した。
この件では学校側が「いじめはない」とする態度に終始したものの、またその際に橿原市教育委員会や、同級生保護者などが、不審な対応を取ったとも指摘された。
この事件は当時、週刊誌や新聞報道などで、学校側や市教委の対応について批判的に報じられていた。
http://kyouiku.starfree.jp/d/post-9888/
その後設置された第三者委員会では、いじめの事実関係が認定されている。またいじめが自殺に影響を与えたとも指摘されていた。
遺族側は「生徒の自殺はいじめが原因」だとして2015年9月に提訴した。この訴訟では、当時部活動顧問だった教員が原告側証人として出廷し、「いじめはあった」と証言した上で、学校側の対応についても証言する、異例の展開ともなった。部活動顧問教員は、担任だった教諭について「(自殺した生徒のことを毛嫌いしていたことを背景に、この生徒が)痛い目に遭えばいい」かのような陰口をたたいていたとも証言した。
同級生4人のうち2人とは和解が成立した(和解内容は非公表)ものの、残る1人と橿原市については和解が成立しなかった。奈良地裁は2021年3月、原告側の請求を棄却する判決を出した。
一審判決では、第三者委員会が認定したいじめについても認定しなかったとされる。遺族側は控訴した。
二審では、遺族側が第三者委員会の委員長に、第三者委員会でいじめを認定した審議の経過に関する陳述書を依頼し、法廷での証人尋問を求めたものの、認められなかったとしている。
そして二審でも動揺の原告側請求の棄却となった。
雑感
事件の経過そのものも、またその後の学校側の対応も、複雑な経過をたどった事案ではある。その一方で、第三者委員会がいじめを認定し、また当時の学校関係者もいじめを証言したという状況のもとで、いじめを認定しない判決が出たというのは、裁判の経過としては疑問を感じるところがある。
このような判決が妥当だったのだろうか。