「学び舎」の中学校社会科歴史教科書を採択した国立・私立中学校に対して、「反日極左」などとして組織的と思われる抗議活動がおこなわれた事件が起きた。

 この件に関連して、「自らの署名入りの抗議はがきを投函した」と認めた松浦正人・山口県防府市長は12月8日、市議会で認識を問われ、「問題ない」とする立場での答弁をおこなった。

 松浦市長は「謝罪する類いの話ではない。『お願い文』を『抗議』と受け取られたならば、私の真意を理解されていない」などと答弁したという。

 質問をおこなった自民党市議は、市長が「反日極左」などとするはがきの文面に賛同したと話したことについて、「市長ともある人が『反日』の言葉を使うことで排外主義やヘイトスピーチと同じ行為をしている認識はあるか」とも質疑した。松浦市長はヘイトスピーチとの指摘は否定した。

 この問題は、あらかじめ組織的に印刷して関係者に配布したと思われる同じ文面のはがきが大量に届いたことや、「抗議文」の文例を提示するインターネットサイトがあったこと、また松浦市長など複数の政治家が抗議活動に参加していたことなどが指摘されている。受け取った学校側は、組織的な圧力ではないかと疑ったという話もある。

 松浦市長は、育鵬社教科書の母体の日本教育再生機構にもつながる「教育再生首長会議」にも関与している。

 教科書問題では、極右派は手段を選ばない事例が多数報告されている。この件についても、手段を選ばない圧力であることは疑う余地がないのではないか。

(参考)
◎歴史教科書はがき送付問題 「真意理解されてない」 市議会で反論 /山口(毎日新聞 2017/12/9)
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集