東京都世田谷区立小学校6年だった2014年、校内で組み体操の練習中に転倒して頭部を強打し脳脊髄液減少症の後遺症が出たとして、現在中学校3年の男子生徒と保護者が世田谷区と当時の担任教諭を相手取って約2000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、4月25日に東京地裁で開かれた。

 区と担任教諭はいずれも「過失はなかった」として請求棄却を求めた。一方で区は話し合いでの早期解決を提案した。

 事故は2014年に起きた。組体操の練習で、体育館で倒立の練習がおこなわれていた。倒立する児童と補助の児童の2人1組でおこなわれていたが、相手の児童が補助に失敗し、この児童は転倒して頭部や背中を体育館の床に打ち付けた。

 この際、学校側は体育館の床にマットを敷くなどの安全対策をとっていなかったと指摘された。

 児童は脳脊髄液減少症を発症した。頭痛や吐き気が続き、学校での授業も半日しか出られない、学校行事や体育の授業への参加も制限されるなど、日常生活に支障をきたしているという。

 事故については、事故そのものは避けられないのかもしれないが、安全対策の工夫をしていればここまで重篤な被害にはならなかったのではないかと思われるような案件ではある。事故に至るまでの事実経過や、事故後の対応を詳細に検証した上で、必要な教訓をまとめることが必要だと思われる。
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