実業家の堀江貴文氏が、保育士の賃金の安さについて「誰でもできる仕事だからです」とツイッターで発信したことが、保育の専門家・関係者から批判を浴びているという。

 日刊スポーツweb版が2017年12月17日、共同通信配信記事を掲載する形で、『保育士は「誰でもできる仕事」堀江氏ツイートが物議』という記事を載せている。

https://www.nikkansports.com/general/news/201712120000457.html

 堀江氏が2017年10月におこなった発言に対し、現場の保育士や専門家が反論の声を上げているという。

 当ブログとしては、堀江氏という個人には、特に興味はない。

 その一方で社会的な傾向として、堀江氏と同じような「保育の専門性を否定する・軽んじる」主張が社会で一定の力を持っていることは危険だという危惧を持っている。特定の誰かの発言がどうこうというより、「保育に専門性はない・低い」という一部の間違った風潮・俗説を社会から払拭していく必要があると感じている。

 いわゆるネオリベとかそういうものをはじめ、保育を儲けの手段やコストとして扱うような一部の風潮は、保育の専門性を否定することと表裏一体になっていると感じる。

 そういうのが政治や行政の中枢に影響を与えるようになると、大変なことになる。

 「子育て経験があれば子どもを見ることができる」「子どもを見るくらい誰でもできる」かのようないい加減なことを言い出す一部の政治家や行政が、保育の水準を下げてきたという実例もある。

 例えば大阪市では、従来は国基準以上の手厚い保育面積や保育士配置だったのが、維新の市政によって切り下げられ、さらに「特区」と称して国基準以下への「緩和」方針も打ち出されている。

 しかし保育所の保育面積や保育士数、保育者のスキルなどの条件が、保育条件を大きく左右し、条件が悪いほど事故につながりやすいことも指摘されている。

 保育事故は、無認可保育施設の方が多く発生する傾向があることが指摘されている。

 安全や子どもの発達段階・心理など多方面に気配りしながら、複数の児童を見ていくことは、やはり専門性が必要な業務である。個人の経験や思い込みだけを絶対化するようないい加減な対応ではできることではなく、必要な専門理論や経験が必要な業務ではないか。
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